第34話 ちょっと氷河を見に
週末は夫が会社の飲み会でぼっち飯を満喫していた。
限界まで手抜きをするのは一人ご飯の時の特権だ。
肌寒い時期には、冷凍焼きおにぎりに塩昆布とシャケ瓶、長ネギの刻んだのと胡麻を入れ、熱いお湯をだばーとかけてワサビを添え、お茶漬けにしてワシワシ食べるのがおくさん流だ。もうそろそろお茶漬けシーズン到来だな。今度昼ご飯でやるか。
事前投票も終えて台風なので引きこもっていた。台風だからコロッケにでもしようと思ったが、結局イモが少なかったのでコロッケは諦めた。
台風コロッケっていつ頃から言われ始めたの…ネットに詳しい人教えろください。
そうだな。今回は夫が飲み会で会社の登山部に誘われた話を書くことにしようか。
現在住んでいる県は山が多く、アウトドア趣味の人が思わずウキウキしちゃうくらいに自然が溢れている。あと虫も。
こっちに来て初めて夜中にホー!とかいう梟の鳴き声で目が覚めたよ。
話が逸れてしまった。
奥さんも一緒にと誘われた登山部は、いわゆる「ゆる登山部」だったらしく、
皆で仲良く健康促進☆的な感じの和やかなサークルのようだったそうだ。
運動神経が既に息をしていない私にはそんな和やかサークルも参加は厳しい。
ちなみに私は虫が嫌いだ。完全無欠のインドア派だ。
嫁が登山嫌いなので…と断った夫に食い下がる職場の同僚に、自分自身は登山は嫌いではないと伝えたところ「どんな山登ったんですか?」という質問がきたそうだ。
自然な流れだ。
「えっ、登山なんてするんだ?なんて答えたの?」
「ミニヤコンカ」
「どこそれ。」
聞き覚えの無い山の名前に当然その質問が出る。登山するなんて初耳だよ!
後で調べたところ、ミニヤコンカは中国にある7000m級のめっちゃ高い山だった。
そしてめっちゃ人が遭難していた。
「よく帰ってこれたね。てか、頂上まで行ったの?」
「行ってない。ちょっと氷河を見に行ったから。」
氷河は思ったよりゆっくりと進むらしく、ほぼ静止画のようだったとのことだ。
氷河のある場所は3000m程度のところらしい。
ちなみに今は観光地化が進んでいるらしく、夫の行った頃よりは楽に見に行けるそうだ。富士山かよ!
同僚には「世界が違いますね」と言われたらしく、何が世界が違いますねだ世界は一つしかないだろ!と酔っぱらって憤る夫に、うん…みんなそういう意味で言ったんじゃないと思うよ!
と思う反面、この男が夫でよかったと涙が出るほど大笑いしたのだった。
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