第14話 アニメじゃない

私の夫は、目が細い。

どのくらい細いかというと、開いているか開いていないかわからないくらい細い。

いわゆる糸目というやつだ。

おまけにハッキリとした寝言までいう時があるので、

いつ寝ているのかがよくわからない。

おまけに付き合っていた頃は敬語だった。

いつか何かピンチに陥ったら開眼して

アニメみたいなチートキャラになるんじゃないかって、そう思えてならない。

そうそう、そろそろGジェネもZZ編にいくようだ。


結婚前の話だ。

繁華街から帰ろうと、馴染みのタクシー(本業は住職)を呼んで夫と2人で乗り込んだ。

「今度彼氏を一緒に連れて乗るから、という約束をやっと果たせたね」

と運転手のお爺さんに話していると、お爺さんが

「この人、スパイなの?」といきなり聞いてきた。

夫は違う違うと全力で否定したが、そのムキになっているところがますます怪しいと

更に突っ込んで聞かれたのだった。

お爺さんは霊能者だった。


後日会った時に夫に

「お爺さんの言ってたことホントなの?」と聞いたら、うんざりした顔で「違う」と答えたが、その後に

「昔、就活をしていた時にスパイと間違われて面接落ちたことあったよ。

元公務員だったのと、第二外国語がロシア語だったのがダメだったんだと思う。」

と遠い目をしながら言っていた。


こいつら…。


常識という眼鏡でしか測れない

古い地球人の私は現実に置いて行かれそうだ。





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