第7話 消去法で選ぶ引越

ふぅ。

仕事の話はしないと決めていたのだが、夫のせいでバナナ稼業の事を思い出してしまいつい書いてしまった。いかんいかん。

あぁだけど。あのまま働いていたらバナナと心中しかねなかったから

連れだしてくれた夫には感謝している。割とマジで。

結婚に伴い、支店がない県に引っ越すことになったので辞めます☆

って言わないと人足りな過ぎて辞めれなかったくらいの会社だったからな。

女子職場だけでしかわからないことだとは思うが、お局様軍団の中での寿退社のささやかな勝利感が気持ちよかった!

ひゅっふーーーー!!


つい取り乱してしまった。

以前の話で、夫が過去に住所不定無職だったことがあると書いた。

今回はその引越の時の話だ。

結婚を決めた際、夫には内々定が4つ出ており

「これからどこに住みたい?」と聞かれた。

新卒以来、無い内定とブラック企業戦士の狭間で常に悩んでいた私は

40過ぎて内定をいっぱいゲットしてくる夫の才能に若干嫉妬した。

が、そんなことはもうどうでもいい。うまく選択すればバナナ稼業から足を洗って娑婆に戻れるのだ。

「可能な限り働きたくないでござる」

というピュアな欲望を胸にダダ漏れにさせながら私は、

自分のこれからを左右することなので念入りかつ慎重に質問した。

「どこに住みたいって、候補どこなのさ?」

「アフリカと、中国の山奥と、南の島と、九州の某県。」

…。

「えっと、もう一回言おうか。」

「アフリカと、中国の山奥と、南の島と、九州の某県。」


なんだよその4択…。

南の島には一瞬心惹かれかけたが、夫の事なので絶対何かあると思って

確認したら案の定

「島の人は基本自給自足で暮らしてる。」

という返事が返ってきた。やっぱりな。

向こうの主婦はみんな、ヤギの解体とか電線修理とか

フォークリフトの運転とかできるよ☆とかサラッと言ってきたけど、無理!無理!!

みるみるうちに元気を無くす私に向かい、夫が気遣うように言葉を続けた。


「大丈夫。山にはパクチーくらいなら自生してる。」


違う、そこじゃない…(白目)



場所?勿論九州一択で決定したよ。

消去法でな!

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