第5話 夫と野人ハンター

夫婦の休日は、ちゃぶ台で隣り合いながら、めいめいがパソコンに向かったり

一緒にテレビや映画やアニメを見たりするのが恒例となっている。

そして誰得の続きが書けない私は、これをつらつらと書いている。

夫は横でGジェネをしている。1年戦争がやっと終わったらしい。


今回は、四川省の奥地で山崩れがあったというニュースを見た時の話だ。

「ねぇねぇ、茂県ってどんな感じのとこなの?」

「えっ、どんな漢字書くの?」

「吉田茂の茂に県だよ。」

「あぁ、そこは先住民の住んでるとこだね。山の方かな。」

中国での生活が長かった夫は、中国に詳しい。

「山って、神農架みたいなとこ?」

「いやいや、あそこまでじゃないよ。普通の町。」

神農架がどんなころかと聞くとググってみたら?というので

早速目の前のパソコンに聞いてみる。

最近の検索は、キーワードを入れると他所の人がよく検索しているものを予測で返してくれる。便利な世の中になったものだ。

「神農架 野人」と出てきた。

面白そうなので早速クリックしてみると、野人ハンターという怪しいおじさんの写真が一緒に載った記事が出てきた。

記事によると、1年のうち10か月は山に籠る生活をしており、自給自足で暮らしている。野人に遭うまではこのヒゲを剃らないとヒゲに願掛けをしているそうだ。

「寧ろこのおっさんの方が野人にしか見えないんだけど…。」

隣でゲームをしている夫に話しかける。

「ん?どれどれ?」

とゲームの手を止めてパソコンを覗き込んだ夫はいきなり笑い出した。

「なに、どうしたの?!」

「これ、私の知り合いだ。いやー、まだこんなことしてたんだ。

彼ね、本物の野人よりも地元の名物になってるよ。」


夫よ、変な知り合いはいっぱいいると思っていたが

そっかー、野人かー。

そっかー…

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