三章 初めての帝都へ
7 そうだ、帝都へ行こう!
玉藻さんが帝都へ行って一週間程たった頃、私たちは帝都まで買出しに行くことになった。
今までは師匠が行っていたが、私に箒での飛び方を教えてくれる代わりに買い物に行かせるそうだ。
と、言うことで今は師匠の箒の後ろに乗せてもらっている。
「早くクエルの箒も作らないとなぁ…クエルが乗ってると怖くてスピードが出せないよ」
「師匠、それってどういう意味ですか!」
「鈍臭いって意味だよ」
ペロッと舌を出し、おどけながら答える師匠。
「もう!師匠、いい加減にしてください!」
「アッハッハ、ごめんてば。許してって」
そんなことをしているうちに帝都が見えてきた。もちろん、私にとっては初めてだ。
「これが帝都ですか…すごいですね!」
「そそ。で、あのでっかい樹が
私たちは近くに降り、歩いて帝都まで行った。
「やっぱり、帝都は大きいですねぇ…」
「そりゃそうだよ、何たって帝国の首都だからねー。じゃ、行こうか」
「あ、ちょっ!引っ張らないでくださいー!」
そういうと、師匠は私を引っ張って帝都の中へと入っていった。
「はい、ここが繁華街。クラウの村じゃ買えないものとかも多いよ」
師匠は私の顔見せをすると共にお店の場所を細かく説明してくれた。
例えば、お肉屋さんの店主には、
「おう、ローリスちゃんいらっしゃい!今日は何にするんだ?オススメは
「うんにゃ、今日は弟子の顔見せだけだからまた…って思ってたけどフレイムウルフかぁ…おじちゃん、二つください」
「まいどあり!じゃあ、会計は四百ユリルだよ。少しだけおまけしとくからね」
「ありがとー、おじちゃん。でね、この娘が私の弟子の…」
そういうと、師匠の後ろに隠れていた私を前に押し出し、
「ほらほら、挨拶はしっかりしないとダメだよ?」
「うっ…え、えと…クエルです。よろしくお願いします…」
と、こんな感じで通りにあるお店を回り切った。その後に歩いて家に帰る途中だ。何故箒を使わないかというと、「たまには歩こう!」という師匠の提案だった。
「あとは、箒に乗る練習をするだけだね。言っとくけど、すごく大変だからね。覚悟していてね」
師匠がニヤリと笑いながらそういった。
そのとき、私はまだ師匠の真意に気づく事ができなかった…
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