5 久々の再開

ファングラビットが私に攻撃してこようとした瞬間、私の目の前に九本の尻尾が現れた。

「ふふふ…可愛いのう…」

誰かが私に向かってきたファングラビットを捕まえてくれたらしい。

「あ、あの…ありがとうございました…」

「ん?気にするでないぞ。こやつは可愛いのでな」

なんだか不思議な獣人さんだ。

「あ、そうだ。助けてくれたお礼に家で休んでいきませんか?」

「そうか?じゃあ、お言葉に甘えさせて貰うかの」

私は不思議な獣人さんを連れて家へと向かった。

もちろん、薬草はきちんと取って来ました。

その道中で

「そういえば、あなたの名前ってなんですか?あ、私はクエル=ハルトマンです」

私も、弟子兼家族としてハルトマンと名乗っていた。

「我は、玉藻前たまものまえじゃ。よろしく頼むぞい、クエル。しかし…ハルトマン、どこかで聞いたような…」

そんな自己紹介をしていると家についていた。

「あ、つきました。ここです」

「ほう、こんなに立派な家が…一人で住んでいるのか?」

「あ、いえ…」

と、説明しようとした所で家の中から師匠が出てきた。なんだ、先に帰ってたのか…

「おー、おかえり。クエル先帰ってたよー…って、なんで玉藻前も一緒にいるの?」

「おぉ!ローリスよ、久しぶりじゃの。五十年ぶりくらいかの?」

「うーん…よく分からないけどそのくらいじゃない?あんまり時間を気にしたことないからねー」

…正直、話についていけません。

「え…師匠と玉藻前さん知り合いだったんですか?」

「そうだよー」「そうじゃ」

見事に二人の声がかぶった。

「ま、狭いとこだけどゆっくりしてってー」

「じゃあ、お邪魔するのじゃ」

私は、早速お茶の準備に取り掛かった。

が、

「って、師匠も玉藻さんも昼間っからお酒飲ないで下さいよ!」

二人は、師匠の地下倉庫から出してきたお酒を飲んでいた。地下倉庫には時間操作魔法がかかっていて、どんなに長い期間を必要とするお酒でも作ろうと思えば一瞬で作れる…らしい。

「まぁまぁ、いいじゃん。たまには」

「そうじゃそうじゃ。して、ローリスよ。この葡萄酒、随分と美味しいがどうやってつくったのじゃ?」

「ふっふっふー、それはねぇー。秘密なんだなー」

………二人とも、全く酔いが回ってないように見えるんですが?

確かあれ、相当高い度数のお酒だったような…

「師匠も玉藻さんも酔わないんですか?」

「そういえば、酔ったことなんてないなー」

と師匠が。

「我は高位の魔族だからのぅ。この程度では酔いはせんわ」

と玉藻前さんが。

この人たちと飲み会やったら帰れないだろうなー…なんて考えたりして。

「さて、そろそろおいとましようかの。ローリス、そなたにも会えたしの」

「あれ?今日は泊まってかないの?せっかく私に会いに来たのに」

「なんじゃ、バレていたか」

「そうですよ、是非泊まっていってください」

玉藻前さんは少々渋った様子だったが、断るのも悪いと言って泊まることにした。

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