私の初恋

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 クリスマスの雪の夜。私は妹尾くんに、告白、を、されたような気がする。

 ――敷島さん。みたいな人。

 あの、緊張して、頬を真っ赤に染めて、そして私の名前を呼ばれてしまったら、己惚れるのも仕方がないと、思う。

 次の日から冬休みが始まって、年が明けるまで、妹尾くんとは一度も顔を合わせていない。

 いや、年が明けても、冬休みが終わっても、私たちは全く顔を合わせる機会に恵まれない。

 というのも、妹尾くんが学校に顔を出さなくなってしまったから。

 冬休みが明けてからずっと、私の後ろの席は空いたままで、最初はみんな気にしていたけど、一月経って、今はもう誰も気に留めなくなってしまった。

 妹尾くんは短い黒髪で、背はクラスの真ん中くらいで、本が好きみたいで、休み時間はいっつも読書をしている。運動は出来るのかよく分からない(男子と女子は体育が別々で、球技大会とか体育祭でも、特に話題には上がらなかったから)けど、実は、凄く頭が良いことを私は知っている。一度だけ、成績表を覗けてしまったことがあるのだ。(妹尾くんが成績表を落としてしまったとき、本当に、偶然。)なのに、一学期の期末だけは赤点だったりして、妹尾くんは謎が多い。

 妹尾くんに関して、もう一つ、印象深い思い出がある。

 私が陸上部の大会で全国へ行った時、なんと、六つも県を跨いだ会場まで応援に来てくれたことがあるのだ! 陸上部で全国大会に出られたのは私だけだったから、やっぱり、妹尾くんは私を好き、なのかもしれない。当時は全く気づいていなくて、――あ、妹尾くんみたいな人が居る! としか思っていなかったけれど、今改めて、少し、嬉しく思う。

 あの冬の夜からずっと、私は妹尾くんのことばかり考えている。

 入学したばっかりで、緊張しながら自己紹介をする妹尾くん。春の陽気に微睡んで、図書室で船を漕ぐ妹尾くん。廊下で偶々すれ違って、ぺこりと頭を下げる妹尾くん。テストで一番でも、むっつりとして顔に出さない妹尾くん。ずっと遠くまで、私の応援に来てくれる妹尾くん。私が振り向くと、石像みたいに動かなくなる妹尾くん。赤点追試で愕然とする妹尾くん。本を読んでる妹尾くん。勉強をしている妹尾くん。頬を赤らめる妹尾くん。私のことを、もしかしたら、本当に好意的に、想ってくれているかもしれない、妹尾くん。

 ――ああ、妹尾くんに会いたいなあ。

 そんな風に私は思う。何気に、これは私の初恋なのかもしれない。

 あの夜、私もなんだか恥ずかしくなって、逃げるように別れてしまった。だって、まさか、妹尾くんが学校に来なくなるなんて、思ってもみなかった。それに、私には用事があって――。

「用事……?」

 確か、父と母に頼まれて、何かをしに、山を――。

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