2章 神は死に賜うた
第15話 変身
ギルドのサブマスターになり、一ヶ月が過ぎた。
自分自身のキャラクターも順調に育ち、初心者の殻を破って来ている。
その中でも一番鍛えて来た炎魔法は既に中級ランクに達し、巨大蜘蛛程度なら一撃で倒せるようになった。
その他のギルドメンバーも順調にスキルを伸ばしており、今ではゴーレムにも苦戦をすることなく戦うことができる。
この分で行けば拠点をはじまりの村から、もう少し強い敵が出る街まで移しても大丈夫だろう。
あれから街にも何回か行き、ダンジョン遠征に必要な装備も徐々に整ってきている。
街のダンジョンは、はじまりの村のダンジョンと比べると難易度が高く、そのぶんお金が稼げる。
みんなの予定を合わせて是非チャレンジしたいところだ。
そんなある日、友人と
順調に階層を進み、ボス手前の部屋までもうすぐのところで事件は起こった。
このゲームのダンジョンは通常出てくる敵は決まっており、その中からランダムで組み合わせが決まって湧く。
しかし、極々稀にこの限りではないレアモンスターが出てくることがある。
このレアモンスターは下手したらボスよりも強い代わりに、一定の確率で非常に高価なアイテムを持っていることがある。
このゴブリンと、ゴーレムが支配するダンジョンで現れたレアモンスターはゴールデンゴーレム。
金でできたその巨体は通常のゴーレムよりも硬く、攻撃力も強化されている。
しかも厄介なのが体躯は通常のゴーレムより小さくなっており、動きも機敏だ。
この難敵に出会ったのはこの時が初めてだが、いかんせん部が悪い。
通常のゴーレムであればパワーアップした僕らなら4人でも問題なく立ち回れるが、相手は強化型。
通常の立ち回りでは対応することがなくあっという間に戦線が崩壊しだす。
僕「ひでぶっ!」
スパイスさん「くっ!」
吹き飛ぶ僕とスパイスさん
前衛二人と後衛二人、前衛の崩壊はパーティーの崩壊を意味する。
僕「こんな強いのは初めてっすねぇ・・・。」
スパイスさん「そうだねぇ・・・。とりあえず立て直すから悪いけど時間を稼いで。」
僕「了解です!」
何かスパイスさんに考えがあるなら、今はそれにすがるしかない。
友人ヒーラーのヒールを受けつつ、下っ端の時間稼ぎ要員は奮い立つ。
決して高くはない防御力だが、それを補うのが街で手に入れたカイトシールドだ。
このカイトシールドを前面に構えながら防御をすることでゴールデンゴーレムの強力な攻撃も2発までなら
耐えることができる。一発耐えている間にヒールとポーションで回復をし次の一撃に耐える。
その間にもヒールでは回復できない重症度が増していく。この重症度が一定を超えた時にこの戦線は崩壊だ。
こちらの奥の手が間に合うか、相手の火力がそれを上回るか。
手に汗を握る攻防、時間にすると2〜3分の時にしかならないが、当時の僕には一時間にも感じられた。
スパイスさん「お待たせ、準備はできた。」
スパイスさん「 変 身 !」
僕・団長・友人「!?」
変身の掛け声とともに、姿を変えるスパイスさん。その姿は白い鎧を身にまとっており、身長や体型まで変わっている。辺りには白い羽が舞い散り、変身を終えるスパイスさん。
そしてその名前の前には今まで見たことのない文字が書いてある。”
変身をしたスパイスさんはゴーレデンゴーレムに向き合い反撃をする。
変身前の攻撃では考えられないダメージを一撃で与え、ゴールデンゴーレムが怯む。
その隙に僕は包帯で重症度の治療を終わらせ、炎魔法を詠唱する。
変身したスパイスさん、炎魔法を携えた僕。前衛の復讐が始まる。
燃え盛る炎の攻撃に怒り、僕の方を向いているゴールデンゴーレムにスパイスさんの渾身の一撃が突き刺さる。
断末魔の咆哮を上げ、金色の塊が崩れ落ちる。
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残念がならレアドロップはなく、単純なゴールドのドロップのみだった。
だが、それだけでも結構な額になるし、今はそれどころじゃない。
僕 「スパイスさん、なんすかそれ超かっこいいんですけど。」
スパイスさん「ふふふっ、いいでしょー。」
「これはねストーリークエストで、ある神様を助けると貰える力なんだよね。」
僕 「詳しく。」
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