第14話 そして始まる
自分のことを話そう。
まず、僕はこのゲームを始める前にもオンラインゲームをやっていた。
そのゲームを辞めた理由は、そのゲームのサービスが終了をしたからだ。
ネットワークゲーム創世記に作られたそのゲームは今ある数多のゲーム達と比べると
本当にお粗末で、ユーザーが日に日に減っていくことも仕方のない状況だっと。
当時としては最新鋭の各種システムも、年月が経てば当たり前の仕様で他との差別化などない。
グラフィックも2Dのそのゲームには、そう長い未来が無いことは分かっていたつもりだった。
ある時、そのゲーム会社のGMが書いているブログに、提供会社内でのサービス打ち切りが
示唆される様な記事が投稿された。
これを見つけた僕は「やっぱりな。」と同時に「それでもまだ。」と思った。
そして、その後ゲーム内で色々な活動を仲間たちと展開し初心者の受け入れや各種ユーザーによるサポートの展開。
加えてイベントの活性化、ゲームブログの数を増やしたりオンラインゲームランキングへの組織的な投票等、
思いつくことはなんでもやった。そして徐々にゲーム内に人が増え始めた矢先に運営会社はサービスの終了を発表した。
後から聞いた話では、下手に活性化して中途半端に人数が増えて採算性が少ないゲームのサービスを継続し続けることを
運営会社は嫌って、早期のサービス終了へと舵を切ったとのことだ。大々的にキャンペーンをうっていたり、
プレイ人数の少ないそのゲーム内ではそれなりの有名人だった自分は、自分たちの行動がゲームの終了を加速させたと責められた。
「お前たちが余計なことをしなければ、まだ細々と続けていけたかもしれないのに。」
たかが趣味、たかがゲームのことだ。それでも自分が遊んできた日常を失うというのは、
自分の体の一部分が失われる様に感じる。人間は元来群れ社会で生きる生き物で、社会的な認知や社会的な帰属意識に非常に重きをおく。
たかがで括られたとしてもそこは間違いなく、自分が生きてきた社会の一部で学校の卒業とは違い、突然放り出される感覚だった。
運営会社にも人情はあり、半年の猶予期間を設けてそのゲームは幕を閉じた。
そのゲームにまつわる詳しいことは別の話なので、ここでは書くことはこれぐらいにしたい。
そしてその失意の中で始めた活気溢れるこのゲームの中でも、小さなコミニティに何かできることを見つけてしまった。
最初はまた失敗するかもという思いで、手を出すのが怖かった。
自分には何もできない無力感でいっぱいだった自分に、人の動向を左右する資格なんて何もなかった。
それでも手を出したのは何故か?
正直、自分でもよく分からない。多分、自分に対する言い訳と、かつて自分が迷惑をかけてきた人に対する贖罪を
目の前の全く関係ない人たちにしようと思ったんではないかと推測するが、それも何かしっくりこない。
魔「えーっと、それで何が言いたいのかな?」
僕「つまりだ、迷惑かけるかもしれないってことだよ。」
魔「うーん、よく分からないけど、みんな好きに遊んでればいいんじゃないの?迷惑だと思ったら、嫌だっていうしさ。」
僕「そうだね、とりあえず嫌な事とか許せないことがあったらいって。僕自身が考える、誰かの為にってやっても間違いだらけだろうから。」
魔「うん、やっぱりよく分からないけど、なんかありがとうね。」
僕「?」
魔「きっと、それだけこのゲームを好きになってくれたって事でしょ。自分の好きなゲームを好きでいてもらえるのって嬉しいよ。」
僕「好きになったのはゲームというより、このギルドとメンバーだけどね。」
魔「そっちの方が嬉しいな。w」
僕「じゃぁ、いずれお別れするその時までよろしくお願いします団長。」
魔「なんで、別れの話!?まだうちのギルドできたばっかだけど?!」
僕「臆病なんですよ。」
魔「くさいなーw」
僕「うるせー、あと、お父さん結婚は認めないからな。」
魔「なんで!?同意の上だよ!?」
僕「
魔「なにがっー!」
初めての本音らしきトークで、この団長はだいぶはっちゃけた。僕もはっちゃけた。
ここから、このギルドの歴史は始まった。まさしく終わりを迎えるまで。
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