第9話 はじめてのおつかい→はじめてのかんゆう

街に入ると今まで自分がいた村との違いに驚く。

ネットゲームの世界でもこんなに地域格差があるとは。


そもそものプレイヤー数も違い所狭しと人が移動をしている。

加えて広場に行くとたくさんの個人商店が並び、銀行の前では大声で何かを販売している人もいる。ちょっと怖い。

目的の武器屋に伺うと、村の武器屋とのラインナップの違いにこれも驚く。

武器もそうだが、防具も本当に多様な種類があり逆に選ぶのが大変だ。

しかもそこに個人商店で売っている別の場所で手に入れられたであろう中古の鎧等もあり悩ましい。


---------------------------------------------------------------------------------------


最終的に鎧を買わずに、両手で持つタイプの大剣を一本購入した。

鎧?なにそれ美味しいの?

昔の偉い人も言ってました。「力こそパワー。」「攻撃は最大の攻撃。」


新しい剣を手に入れほくほくと村に帰る。

友人はヒーリングワンドというヒール効果の上がる、ヒーラー御用達のアイテムを購入していた。

帰りの道中では熊に会うこともなく、無事に帰ってくる。


そして早速”永遠のライバル”(暫定)狼に対して購入した大剣で一撃を打ち込むとワンキル余裕でした。

これだけの威力があればダンジョンでもある程度の戦力になれるだろう。

村の広場に戻ると時間帯的にギルドのメンバーが徐々に集まって来ていた。

今日はどうやら新しいメンバーの勧誘をみんなで行っていくらしい。

人見知りの僕としては、知らない人と喋る上に勧誘をするなんて恐ろしいが、頑張ろう。頑張ろう。


まずはメンバー全員でバラバラに散らばり、初心者らしき人を見つけたらギルドチャットで報告し、

みんなで囲い込んで行く作戦だ。絶対に逃がさん。絶対にだ!←

欲を言うと一部のメンバーを山賊に扮させて初心者を襲い、そこを別のメンバーで救うというのがベストだ。←


と、バカなことを考えていると一人の初心者を発見した。

明らかに装備が初期のままで、ぎこちない動きをしている。へへっ、いいカモだぜ←

僕よりも下っ端ができればギルド内ででかい顔ができる。その為には多少の出費も厭わない。


僕「初心者さんですか?^^ 何か困ってたら言ってくださいね。」

初「ありがとうございます!と言っても、わからないことだらけでして…」

僕「どんなことをしたいんですか?」

初「とりあえず馬に乗りたいです!」

僕「なるほどですねー!馬憧れますよねー!ちょっと僕も持っていないんですが、現実のお金で買うのですけどお金のかかる話なので、もしよければ知り合いに乗せてもらって試してみるのはどうです?」


そういう話をしつつギルドチャットで別途チャットを打つ。

僕「カモ網にかかれり。馬持ちの援軍求む。」

仮面「御意。」


もの凄い速さで仮面の人が馬を連れてこちらに向かって来た。

この時点でちょっとした間違いに気づく。想像してみてほしい。斧を片手に仮面を被った男が馬にのってこっちに向かって来ている。アウトーっ ←

幸い、初心者君は逃げ出さずにその場で固まっててくれている。

仮面の君は馬から降りると仮面を脱いだ。えっ… …脱ぐの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る