第10話 仮面のその下に
結論から言うと、イケメンだった。違う、想像と違う。
金髪碧眼、明らかに有料のキャラカードにしかない髪型。なぜ隠していた。というか初めて見る素顔だった。
仮面「君が初心者君かな?」
初「は、はい!」
あまりの変貌にびっくりしているようだ。このゲームの醍醐味の一つだが、かなりアバターに自由度があり
同じ系統の戦士であればほぼ似たような見た目になるゲームが多い。しかし、このゲームでは同じ格好をした人に出会うことはほぼ皆無。
一つの衣服にしたところで三箇所以上は色を変えることができる為、事実上の組み合わせは多分とんでもない数になる。
仮面「じゃぁ早速、馬に乗りたまえ。この村を案内しよう。」
初「ありがとうございますっ!!」
なにそのイベント、僕の時はなかったよ?
仮面の人と二人で初心者君を村の色々な施設に案内していく。その間僕は徒歩だ。まるで馬丁だ。
主要施設を一通り案内をした後は簡単な戦闘演習を見せる。
僕のホーム狼草原で簡単な立ち回りや、戦い方を教える。
ある程度中級者になれば攻撃力も上がり、敵ではない狼も僕にとってはまだまだいい練習台でその姿を見せることで参考になることもあるだろう。
すっかり連れ回したことで好感度を上げた初心者とフレンド登録を実施し、気が向いたらうちのギルドは駆け出しの冒険者を募集しており、いつでも来てほしいことを伝えた。
どうやらあちらにも連れがいるらしく、お友達共々考えてほしい旨を伝えてその日は一旦解散した。
深追いをしないのも実際の契約を取るのには大切だ←
さて、そんなことより僕には話をつけなくてはならない奴がいる。
僕「仮面さん。」
仮面「?」
そこには再び仮面をつけて、右手に斧を持った仮面さんが立っている。
僕「なんで初心者には素顔見せて、僕らにはずっと見せてくれなかったんですか。」
仮面「人見知りだから。」
自分から人見知りとか言う奴にはろくな奴がいない。人見知りと表現することで相手に対して気を使わせようとしているのがありありと見えるからだ。しかし、彼は決してそう言うタイプの人間でないことをこの短い付き合いの中で僕は知っている。
僕「ダウト。」
仮面「ほら…ギルドに絶対入る人と、入るかもしれない人だったら後者は他人みたいなものだからな。自分の素顔を晒すのは恥ずかしいんだ。」
僕「?」
仮面「この顔は偽りの姿なのさ。俺の本体はこの仮面なんだ。」
めんどくせーロールプレイだった。
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