第8話 はじめての街への道

2つのダンジョンを踏破し、日々の狼との修練によって得たお金でそれなりの貯金ができていた。

これらのお金を使って鎧や盾を新しく手に入れようと思い、はじまりの村の武器屋に行くも盾はお鍋の蓋、

鎧は服に毛の生えた程度のものしかない。明らかに周りのプレイヤーが着けているのは鉄で作られているのに対して

この武器屋で売っているのはほぼ布と木でできている。


スパイスさん「あー、この村の武器屋はダメだよ。あの人は腕が悪い分安く修理をしてくれるのが取り柄の人だから。安い分修理もよく失敗するけどね(笑」


恐ろしい、聞いておいてよかった。

高い金を払って、大切な武器を手に入れてもあいつに任せたらへし折られるということか。

世の中には安かろう、悪かろうという言葉もある。


僕「スパイスさん達が来ているような鎧はどこで手に入れるんですか?」

スパイスさん「それは当然、街の方だよ。」


この世界にも街があるらしい。田舎と都会。

今まで育ったおらが村を出て街への行き方をスパイスさんに教えてもらい、一路友人と二人で街へと向かう。

途中森を抜けていく必要があるが、道は一本道で迷うことはなかった。

しかし、道中に初めて目にする敵が何匹かいた。

まずはたぬき、こいつは強さもはじまりの村にいる狐と同程度の強さで狼と普段戦っている僕には造作もない。

その分落とすものも大したものを落とさないため、狩りの効率としては悪いのでスルーをする。


続いて出会ったのが熊。あるーひーもりのなかーくまさんにーであああああああああああっ

熊さんこっちを見つけるとニンマリとして(そう見えただけ)こちらに大急ぎで駆け寄って来た。

僕は落し物をしてないので、恐らく命を落とそうとしているんだと思う。

全速力で逃げようとするも熊の方が足が速く、撒くことができない。


仕方ないから向き直って防御体制をとって熊を待ち構えていると、村の方から仮面の人が馬に乗ってやってきた。

後から聞いた話ではスパイスの人に初心者が二人で街にいくのは少し危ないからついでの用があるなら

道案内をして上げてほしいと言われたそうだ。まじスパイスさんに感謝。


仮面の人は馬から降りると狂気に満ちた顔で(仮面を被っているので表情は見えない)斧を持ち熊に一撃を浴びせた。

どうやら子熊だったらしくその一撃でHPの半分以上を失った。

その間に僕も炎魔法を詠唱し熊に浴びせて退治をする。命拾いしたぜ。


熊を倒しおえると仮面の人は先導をして森の道を進んでくれた。

変だけど優しい人でよかった。変だけど。


森を抜けるとその先は街道で、ここをまっすぐ行けば街に着くらしい。

期待を胸に街道を進むと、街に近づくにつれ、道の周りに人が多くなって来ている。

道外れにはさっきのような熊もいるが、街道を進む分には問題がなさそうだ。


灰色のレンガを積み重ねた街の門が見えてくる。

この街で僕はもっと強くなる。

期待を胸に街の門をくぐった。

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