第2話 始まりのむら:出会い
そのゲームを始めたのは当友達が先に遊んでおり、誘われたからだ。
インターネットの普及期を終えて一般家庭にある程度のPCが1台はある昨今、MMORPGのユーザーも爆発的に増えている時分だった。
自分は当初長らく楽しんでいたゲームがサービスを終了し、他のゲームをやる気分では無かったので最初は断っていたが、話を聞くと中々惹かれる内容だった為始めることにした。
そのゲームではまず他のそれらのゲームと同じくキャラクター作成から始まる。
そしてこれはそのゲームの特徴だが、転生をすることで好きな外見に変更することが頻繁にできる。
なので考えすぎずに決めることができるため、初期設定は簡単に終わった。
そしてその降り立った世界で初期クエストに勤しみ、初心者として一通りのクエストをこなした後
友人と一緒に始めりの村の近くの草原で序盤では中々の難敵である狼狩りに勤しんでいた。
この世界にもアクティブに襲ってくる肉食系モンスターと、攻撃してこない限り反撃してこない草食系の
モンスターがいるが狼は前者だ。複数の狼に襲われては初心者は一溜まりもない。
二人で協力し1匹のモンスターを倒していると、魔法を使って凄い速度で狼を狩りまくる男キャラがいた。名前は北欧神話の神様から取られており、服もかなり気取っている。完全に中二病物件な訳だがこの世界ではそんな人も先輩だ。そちらの邪魔にならないように距離をとって狩りを続けていると突如狼が大量に湧き出した。
後から考えれば当然で、凄いペースで同じ狩場で敵を狩っている奴がいるということは一定時間経てばその分が反動として湧いてきて当然である。
しかし、当時初心者の自分と友人は大慌てになった。1匹ですら精一杯の狼5匹に囲まれ万事休すの状態で、ありったけの回復アイテムを使いながら刻一刻と訪れる最後の時を先延ばしにしていた。
すると、
「お嬢さん大丈夫ですか?!」
とコメントをつけながら先ほどの魔法使い男がペットの鳥を召喚しつつ、友人の方へと駆け寄った。
そして圧倒的火力で狼どもを殲滅していった。友人の周りの3匹だけ。
魔「お怪我はありませんか?^^」
安全を確保した友人に声をかける魔法使いの男。
友「ありがとうございます!危ないところだったので本当に助かりましたー!」
和やかなムードで会話をしているが、狼は今も自分に襲いかかる。
流石に完全包囲されていた状況からは改善しており、なんとか残りの2匹のうちHPの少ない1匹を仕留めた。
後は時間をかけて安全に残りの一匹を始末するだけだ。
魔「見た所まだ初心者さんですよね?ここの平原だと色々大変でしょうー、もしよかったら僕が色々教えてあげるよ!」
友「そうなんですよー、まだ右も左もわからなくて困ってたんです!><」
あいつら後で許さない。決意を新たに最後の狼と向かい合う。
流石にあれだけいた仲間を殲滅されて狼も不安になっているのか自分の周りをくるくる回って隙を探っている。
馬鹿め、お前の仲間を倒したのはあそこで初心者ナンパしている男だ。
勘違いしている狼に今持っている1番のスキルで最強の一撃を叩き込む。
狼 は カ ウ ン タ ー を 使 っ た !
僕は吹っ飛んだ。
薄れゆく意識の中、出会ったばかりの友人にゲーム内求婚するところまで魔法使い君が喋っているチャットが流れていった。
おいおいおい。
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