日常生活の一変。


涼し気のタンクトップにデニムのショートパンツを着て1階に降りていくと母親が醜い物を見るような目つきで庭から部屋に入ってきた。


「ちょっと、何その格好。男でも誘うの?」

「は?違うわ!暑いからだよっ!」

「ふーん」


母親のこの目つきは私が一番嫌いな顔だ。

自分が悪い事をしているような気分になる。


母親を睨みつけながら冷蔵庫から麦茶を取りコップに注ぎ一気に飲み干した。

夏に飲むキンキンに冷えた麦茶ってなんで美味しいんだろう?

そんな事を思いながら家を出た。


「行ってきまーす」



私の住むこの街は海が近くにあるからか、他の所と比べると少し涼しいらしい。

でも、暑い…本当に暑い。


家の近くに止めてある自転車に股がり、海沿いにある坂を一気に下る。

この時が私の一番の幸せである。


右側にある海を見ながら涼しい風を全身に浴びる。

でもその時だった。

私は前を見てなかった。



ガッシャーン!!!!


私の前で急停止した自転車に気付かず思いっきりぶつかってしまった。


でも、それよりも驚いた事は

今私は海に落ちようとしている事。


ぶつかった衝撃でガードレールから飛び出してしまった。


「うわああああ!死ぬ!」


最後を覚悟した私は、目を閉じた。 


次に目を開けたのは中学生の時の夏祭りの日だった。




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