全20話でつづられた少女の誇大妄想――すんません間違えました――夢の物語。
キーワードが『夢』と書くと、何でもありの軽薄な話かなと思ってしまいますが、とんでもない。
キャッチコピーの江戸川乱歩は言うに及ばず、日本神話のオオニクニヌシや因幡の白兎、臨月天光、一炊の夢、明晰夢、警告夢……。
夢にまつわる資料や用語解説をこれでもかと盛り込んでいるため、舞台設定の厚みが磐石なのです。
筋書き自体は、女の子が魔女っ子よろしく変身して悪い怪物をやっつける、児童向けのプリキュアやセーラームーン路線なのですが、設定の裏付けがしっかり組まれているので、夢に関するトリビアを楽しめる一面も兼ね備えています。勉強になりました。
夢の中の世界らしい大胆な戦闘描写も楽しいです。
なんで必殺技が「スパゲティカルボナーラを大量召喚して敵を押し流す」なんだよ……意味がわかんねえよ……。
夢を通じて、ひとりぼっちだった主人公が友達を作り、居場所を作り、自己実現させて行くのも醍醐味。人間のあたたかみと知識欲を満たしてくれる良作です。