雪の雫が咲くころに。

 降りしきる雪。

 何もかも真っ白に染め上げていく。大切だった君をすらも呑み込んで。

 君はそれでいいと言った。でも、それが我慢ならない。


 雪の結晶がきらきらと走馬燈みたいに、記憶駆け抜ける。君との思いは繋がっている。今も昔も、これから先だって。

 君の温もりを今も覚えている。この目を閉じれば君の笑顔が見えるから。



 だから、それでいい、なんて言わないで。君との絆は時を越えて繋がっている。きっと今度は君にこの想いを、すべて打ち明けるから。君と一緒に笑いあって見せるから。


 神様に祈る様に目を閉じる。崩れ落ちていく記憶の海に、ひっそりと咲くスノウドロップを見た。



 だからどうか、それでいいなんて、言わないで。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る