第6話 抵抗者『レジスタンス』Ⅰ
ある録音機のある廃ビルで『HOPE』の力、必要性などについて知った。ユキの父親からの最後の言葉でもあった。「後は頼んだ」という言葉はとても柊の心に響いていた。何かを託された気分だった。何かしらの運命で『HOPE』という力を得て、柊の周りは一変したかのように感じていた。病院では得られる事の無かった『感情』。そして守りたいと思う人─
ユキと柊は録音機があった廃ビルで1夜過ごす事に決めた。幸いにも生活に必要な器具が揃っていた。電気は少量だが使える。
「あ…じゃあ先お風呂入るね」
「ん…」
ユキの短い返事を聞き、風呂に向かう。確かに風呂があって良かったと思うが、電気を無駄に出来ないという理由で照明が付いていない。
「にしても暗いな…」
風呂に入ったのはいいが暗すぎて恐怖の冷たさを感じる。
(お湯の意味ねぇ…)
しかし今日の出来事が衝撃的過ぎて、疲労が重なり寝てしまった。
あれから20分くらい経った。
「ハッ!…ヤベぇ寝ちまったァ!え…とユキに早く替わってあげないと─ぶッ!」
気づいたらユキが裸体で身体を洗っていた。暗闇でうっすらしか見えないが…
「な…なな何でユキが?!」
「ん…遅かったから」
「でででも、混浴って…ハードル高すぎぃ!」
「混浴…?」
不思議そうな顔で見てくる。まさか…ユキには一般常識がないのか?!
「えーと、その!とりあえず僕出るからッ!」
急いで出ようよしたが、引っ張られる感覚に動きが止まった。
「待って…」
「へ…?」
「独りは…悲しい」
「なッ…///でもでも!ダメだよ男女で─」
「ここに居て…」
「はい…」
めっちゃ可愛い…し、何とも色っぽい。
このToLOVEる的展開は逃せないと思った。
気まずさのあまりに、後ろ向いて見ないようにと意識していた。身体をずっと洗っているユキを想像しそうになるが…なんとか自主規制。
「あ…あの、ユキもう大丈夫かな─ってええ?!」
瞬間、背中に柔らかい2つの感触が当たる。
「な…まさか…」
ゆっくりと首を後ろに曲げる。予想的中、ユキの胸が背中に当たっていたのである。しかも寝てる…
「う…。見てない見てない。ユキの美しいお身体など見ていない!」
その後、柊はユキの裸体を見ないように布団に運んで寝かせた。
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