第八日目 コップを眺める

ハイライト

 扇風機の風が通り過ぎる度、軽く水面は頼りなくゆれ、注いだばかりの水道水はガラスコップの内側にへばりつくように泡を小さく形成。天井からのLEDシャンデリアの光と、コップの間にできた影をガラスの向こうに視認できる。底の方は置かれたテーブルの白さを訴える。水が揺れるたびに光と影とがゆらゆらする。真横から見ると、光のさす方向とは真逆な底面に反射光を見ることができる。その光の強さに比例するように、さらに光の後ろに半円状の強い影ができる。こちらは水が揺れようが変わりばえない。置くテーブルを赤茶色の天板のものに変えてみる。やはり光のさしこむ方向と対極線上にあるコップの足元に影の中、光が切り結ぶように、振動でゆらゆらと揺れ、軽い鈴の音がしそうなほど微細に震える。コップの飲み口は光のさしこむ方向へ向かってハイライトがつやっと入り、水の中は光と影が交互に層になっている。飲み口のハイライトは逆方向にも。

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