2017年7月9日「SWEET・BLUES」

 君が探してたものはなに?

 ――君が求めてたものはこれかい?

 差し出されたものにスナオになれなくて。拒絶するくらいなら見なきゃいいのに。


 それはやさしいナニカ。回し車くるくる回してる毛玉みたいな。丸まって喉をぐるぐるいわせてるやわらかなもの。安心感。


 ううん、でもちがう。そうじゃなくて。

 私が見つめていたいもの。そばにいたい誰かは、そうじゃなくて。

 ――笑って?


 いつもそんなふうに私の顔をうかがって、気弱に見つめる瞳を愛してた。大丈夫だよって、わかっているよって、抱きしめたらまぶしそうにして、共に永遠を感じた。


 あの頃と同じように、二人ぼっちがいいな。

 くりかえしくりかえし、ハッピーエンドを心にうかべて、まだ見ぬ君をまた想う――。


 でもだめ。砂あらしのような、原始の鼓動のような雨音が全てかき消していく。

 まぶしい夢を見ているの? ずっとその先が見えない。なにかあるはず……なのに!


 ドン!

 ぶつかった。背中越しにさしかけられた傘のドット柄は見おぼえがあって……。


「今、何してた?」

 なにげない一言。でもこたえはひとつ。

「待ってた!」

 あなたを。



               END

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