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 昨日の晩、二人で床に就こうと寝室のドアを開けると、そこにいたのは大きめのゴ、いや言葉にするのも躊躇われる程嫌いなので、“G”としよう。

 冬だと言うのにG。しかもいくらキャンプを味わえると言ってもグランピングのロッジでGが出るなんて思わないし、目が合ったし、気持ち悪いし、ありえないし。

 私はGを見るや否や、声にならない悲鳴を上げて彼にタックルし、助けを求めた。彼は涙目で新聞紙を丸めると、G討伐へと姿勢を正す。それからはGとの勝負が始まった。

 パァァンッ、パァァンッッ。夜中に鳴り響く丸めた新聞紙で床を叩く音。それからどれくらい経ったのだろう。実際は短かったのだろうが、Gと戦う彼をハラハラとした心持で見ていたため、とても長く感じた。

 しつこいGめ・・・! なんて彼がぼやく。一刻も早くGとの勝負が着くように祈っていたけれど、結果は奴の戦略的撤退で終わってしまう。それからが大変だった。主に私が。

「ちょっ! 逃げたじゃん! それじゃぁ安心して寝れないじゃない! どうしよう、こんなの気持ち悪くて耐えられないよ!」

 最初こそ、「大丈夫、もう出て来ないって」なんて慰めてくれていた彼だけれど、もう最後の方は半分ほど切れていた。そりゃぁ、私が「GがGが!」と騒いでいたからだけれど・・・。

 だって本当に嫌いなんだもん。寝ているうちに現れたら・・・なんて思うとなかなか寝られないし。そんなこんなで、電気を消した時の雰囲気は最悪。イライラとイライラが混ざりに混ざって呼吸すら音を立てるのを躊躇うくらいだった。

 だからきっと、彼は起きて来ないのだ。呆れているのだ、きっと。こんなに素敵なロッジまで借りてくれたのに、少しくらい我慢すればよかった。彼の言葉を信じて、その胸で安心して寝ればよかった。

「あっ・・・」

 気づけば空が随分白みがかっている。朝陽が昇るまであと少し。

 どうしよう。このまま彼を待っているべきか、それとも彼を起こしに行って謝るべきか・・・。

 窓の外とにらめっこ。そんなことをしている時間に、朝陽が昇るタイムリミットが迫ってくる。あぁ、どうしよう。迷っている暇はない。彼に謝らなければ、謝らなければ!!


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