叫ぶ際はしっかりと周辺を確認しよう
生徒指導室に何の前触れもなく、連行された僕は今起こっていることの状況把握が全く出来ていなかった。ひとまず深呼吸して一つ一つ整理していく。
生徒指導室まで連行されると、先生は僕の腕を掴んでいた手を解き、三つの椅子が用意されている中で二つが隣同士になっている椅子の方に座れ、と指示された。
椅子が三つあることに違和感を感じながらも、嫌々従いながら背もたれから見て右の方に腰を下ろす。
僕が椅子に座るのを確認すると先生も対面にある一つだけの椅子に、腕時計で時間を確認しながら腰を下ろした。
お互いが座ると先生はおもむろに、抱えていたファイルの中から一枚の紙を僕に差し出す。受け取って差し出された紙を見たら、『入部届け』と記されていた。
「え、入部届け……ここって部活は強制じゃなかったはずじゃ……」
「ああ、部活の参加は自由だ。だがな、よく見てみろ」
そう言われるがこれはただの入部届け。何かが書いてあるわけが……あった。
部活動名の欄に本来なら空白のはずが『青春部』と書かれていた。
え? とは思ったもののそれよりも僕は部活の方に疑問を感じた。『青春部』名前からして文化部なのは確定だが、それよりもそんな部活を聞いたことがなかった。
こんな部活ってありました、と首を傾げながら尋ねると先生はないな、とこれまた僕の頭を混乱させる答えが返ってきた。
じゃあ何でこんな部活が……、と尋ねると先生は僕の問いを無視し自分の腕時計を見た。
さっきから何かと時間を気にしている様子の幸田先生。聞いても無駄だろう、と思い発言は控えた。仕方ないので時間潰しにスマホをいじり始める。
ゲームだと途中で話し掛けられたら、中断しないといけなくなるのでここではやらない。
ーー確か今日発表の、新作アニメ情報がもう公開されていたはず……。
検索でそのアニメタイトルを入力する。トップにその公式サイトが出てきたのでタップしてサイトを開くと、キービジュアルや追加キャスト情報、主題歌担当の歌手など盛り沢山な情報が公開されていた。
他にも沢山の情報が公開されているので、完全に幸田先生のことを忘れて自分の世界に没頭する。待ちに待った情報に思わず叫びたくなるが「オッシャー!」の「オ」が、喉まで達した時にここは家ではないことに気付き出掛けた言葉を飲み込む。
恥を掻くことが免れたことにホッと一安心し、スマホから目を離すとなぜか生徒指導室のドア前にーー学校1の美少女と謳われる
「初めまして、
二つも驚かせる発言をしてきたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます