いつもと違う文面は機嫌があまり良くない
昨夜のメール通り僕は翌日の今日、昼休みの時間に行きたくもない職員室に足を運んでいた。
生徒なら誰でも思うはずだ。職員室が校内の中で一番居心地の悪い場所だと……。思わない奴が居るとしたら、それは教師陣に優等生だと思われたい点数稼ぎ共。
そんな点数稼ぎ共に言ってやりたい。教師は生徒を簡単に騙す、と。ほらそこ、僕の目の前にもそんなのが居る。
ジロジロ見ると怪しまれるから適度に観察して、その場をそそくさと去る。それに早く去らないと堪えている笑いが溢れてしまう。
職員室の側にある南階段の二階まで僕は移動し、一階へと降りる。少し足取りが重い気もするが、これも昨夜のメールのせいだ。
明日の昼休み、職員室へ来い。以上、
このメール、おかしな所ばっかな脅迫文面であまりにも簡素過ぎる。いつもなら最低でも後一行プラスした三行構成なのに、昨夜のは二行構成。
これはつまり機嫌があまり良くない、ということになる。何をさせられるのか不安になりながら、五分掛けた計二十八段の階段を降りると良いタイミングと言えばいいのか分からないが、職員室にやって来る幸田先生と鉢合わせした。
「お、やっと来た」
「やっと来たって、先生だって今来たような感じじゃないですか」
「私はトイレに行ってたんだ。だから昼休みになった時点でもう職員室に居た。昼を食わずにやって来ると思っていたら、中々来ないからな。外のコンビニまでトイレを借りるついでに昼まで買って来たわけだ」
「いやいやおかしいでしょ⁉︎ 昼を買うついでにトイレを借りるならともかく、トイレのついでにって、なら学校のトイレ使えよ! てか、教師でも休み時間にコンビニはダメだろ⁉︎」
この先生、幸田
それは別に今は関係ない。話を戻して、この先生にメールで呼び出された過去を元に分析して、面倒事に巻き込まれる確率は百パーセント。
だから、僕が起こす行動としては……逃げる一択!
「昼は何を買って来たんです?」
視線を僕からズラす問いを先生に投げ掛けて、スルスルと足を静かに動かして階段の方へとバックする。
僕の問いに答えようとする先生は狙い通り、コンビニ袋に手を突っ込み買って来た昼食を取り出そうとしていた。逃げれる、そう思い階段へ向けて走ろうとしたが、
「逃げようとしてるな。なら、逃げてみろ。後で何が待ってても文句は言うな?」
僕の考えは幸田先生にはバレバレのようで、素直に元の位置へと素早く戻ると、なぜか職員室ではなく、生徒指導室へと連行されてしまうことになってしまった。
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