第9話 主人公だけ最強なんてもう終わりだけどこの主人公はそのパターンです

戦闘が始まったその場はなんというか一言で表せない程に荒れていた。


サラの場合


『すごーい!テレポートって楽し〜な〜!なんか○子ちゃんみたい!』


と言いながら瞬間移動能力を使いまくりながら敵の雑魚キャラっぽい連中を片手棍で叩きまくっていた。


これが十四歳のやっている事だと思うと末恐ろしすぎる。


フーカの場合


『よく考えたら飛行能力ってあんまり戦闘で使わないよね〜。まぁ短剣あるからいいんだけどね!』


などと言っていた。まぁ飛行能力持ってるキャラってあんまりいないから仕方ないとは思う。


でも確か、ピンクの豚さんが飛んでる小説を読んだ覚えがあるような気がするがまぁいいか。


グランの場合


『うわ、雷強すぎですよ! これもしかしてがんばったらレール○ン打てるような気がしてならないんですけど!』


と言いながら槍に電気を帯びさせて敵に刺していた。


でも、コインがないとあの技は出来ないような気がするんだけなぁ〜


てか、禁○のネタ多すぎないか?


マリンの場合


『はっはっは! 対戦ゲームでは何回かやったがやはり現実でやるのはスカッとするなぁ〜!』


と言いながらマリンは相手の急所を杖で集中狙いしていた。


敵の悶えまくるところを見るとなんかとても可哀想に思えてきた。


ちなみにこのテンションは味方にもしてくる。

俺が傷を負って回復をお願いしたら断られた。


理由を聞くと、


『なぜかって誰かが痛がったりしてるところを見るとなんというか、スカッとするんだよ。』


と言っていた。


これ以上は言わないでおこう。


イザナの場合


『はっはっはー! やっぱり私TUEEEEE! 片手剣サイコー!』


と、子供のように叫びまくっていた。


イザナは元々運動神経がすごくあったので能力が無くても十分に私TUEEEEEしていた。


それも、俺たちが十人倒す間にイザナだけで三十人倒す程の強さである。


もう、こいつだけでいいんじゃねぇの?


ユーリの場合


能力がないと散々嘆いていた俺もなんだかんだで結構戦えていた。


俺は他の五人と同じように雑魚キャラを倒しまくっていた。


俺は残りの雑魚キャラを他五人に任せ、敵の大将を倒しに船長室らしき部屋に向かった。


正直、主人公っぽいことをしてカッコつけたかったのだ。


『ふっ、この俺にお前一人で挑みにくるなんてなめられたもんだなぁ!』


そう言って大将は持っていた斧で切り掛かってきた。

キン、キンと俺が拳で攻撃を受けるたびにかん高い金属音が響いた。

小手をつけているとはいえ、やはり結構痛い。


さっきまでの雑魚キャラとの戦闘でのダメージとのダブルパンチにより日頃身体を必要以上に動かさない俺にとってはとてもキツイ戦闘になっていた。


次の瞬間、とうとう大将の斧が俺の脇腹をえぐった。


慣れない痛みに苦しんでいた俺に大将は猶予を与えずに俺の首を掴んで持ち上げ壁に向け放り投げた。


やばい、超痛い。


血がドバドバ出て、意識も少し朦朧としてきた。


ふと、今までの思い出が脳裏をよぎった。


これが走馬灯ってやつかぁ… やっぱり俺死ぬのか…


だが、ここで死ぬにしても一つ心残りがある。


『やっぱ、依頼達成しないまま死ぬのは後味悪いよな〜。』


俺は立ち上がる。 依頼のため。いや、自分の願いのために立ち上がる。


動きがなかった俺が立ち上がったことで多少の驚きが見られる敵の大将に向けて俺は言った。


『大将さんよー。俺はな、流れ星に主人公らしく生きたいって願ったんだよ。ティナは、俺たちの願いが叶ったって言ってた。てことは俺の願いだって叶ってるはずなんだよ。』


『主人公っていうのはこういう時に都合よく覚醒するもんなんだよ!』


その時、俺は一つの確信を持っていた。

自分の奥底から流れてくる力の発動に。


俺は、ポケットからPTSを取り出して、能力覚醒のページを開いた。


ページの能力の部分には今までは書かれてなかった単語が書いてあった。


『こういう時にこの台詞を言うんだろうな! だから言う!』


『俺、最強!』


俺は、その台詞と同時に能力覚醒のボタンを押した。


ユーリの能力覚醒ページにはこの一文があった。

ユーリ・能力『生体加速〈クロックアップ〉』

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