第7話 この物語がボケとツッコミしか意識していない
『よし、もう一度困ってる人を探しに散策しますか!』
とりあえず、ティナの能力を使って再チャレンジをすることにした。
すると、早速困ってる人の発見に成功した。
『やっと見つかったね。よかったぁ〜』
『サラ、よく頑張ったな。 さぁクエストスタートかな?』
もうなんか、困ってる人困ってる人と毎回いうのも長ったらしいので多少意味は違うがこれからは依頼人と呼ぶことにしよう。
で、その見つかった依頼人についてだが、おでこらへんにメガネのを掛けたおじいさんだった。
俺はなんとなく依頼内容が予想出来るような気がした。
『おっ、あんたたち海賊かね? いやーちょうど困ってたことがあって解決してもらいたいんだがいいかね?』
『はい! なんなりとお申し付けください!』
サラが笑顔で応対していた。
するとおじいさんはテンプレと言わざるを得ないことを言った。
『頼みたいっていうのは、わしのメガネを探して欲しいんじゃよ。』
やっぱり期待を裏切らない展開になった。
後は、メガネはつけてるよ!と教えてあげるだけだ。よし!
『あのーおじいさん? メガネなら頭にーー』
『それは大変ですね! ぜひ、私たちにも探させて下さい!』
フーカは、俺の声を遮るように言った。
ん? フーカさん何言ってんのかな?
と俺は思い、みんなも行ってあげてよと言わんばかりに周りを見たがティナを含めた他五人もサラと同じように
『確かにメガネが無いのはつらいな。』
とか、
『早く解決してあげないと!』
などと言い、みんなおじいさんの掛けているメガネには触れずに話を進めていた。
そうして俺たちはおじいさんの家の中へ向かった。
『朝起きた時はあったんじゃが、気がついたら無くなっていたんじゃよ。』
『ほう、で朝起きてから一度外したりはしましたか?』
『ああ、顔を洗う時に一度。』
『では、洗面所の周りから探すとするか。行こう!』
などとマリンはまるで探偵物のように状況を聞いていた。
本当は『メガネかけてるよ!』と、盛大にツッコミたいところだが、
みんながわざと触れずにいたり、
実はそれは老眼鏡で、別にあるメガネを探していたりする場合を考えると迂闊にツッコミが出来ない状況である。
そんなこんなで洗面所の周りを探していた俺たちだが当然メガネは見つからない。
『ありませんねぇ。 顔を洗った後は何をしましたか?』
『リビングで朝食をとったよ。』
『じゃあリビングに向かいますか!』
もうツッコミを入れようかと思ったがいつもは静かなマリンが珍しくノリノリだったので入れようにも入れられなかった。
そして洗面所と同じように俺たちがメガネを探し始めようとした時、フーカが驚きながら言った。
『あっ! おじいさんメガネ! ほら、頭に掛けてましたよ!』
『おぉ、なんじゃかけておったのか。よかったわい。』
『いやー見つかってよかったよー』
『本当よかったですね。』
その場は大きな仕事をやりきった後のサラリーマンのような雰囲気となっていた。
『いや、素でボケてたのかよ!』
見事に俺はオチをつける形になってしまった。
その後、おじいさんは依頼料として三千ギリを渡してくれた。
ギリとはこの世界での通貨で、一ギリ イコール 一円ぐらいの考え方でいいようだ。
つまり、メガネ探しだけで三千円程をもらったことになる。
『いやー良い事をするっていいね!』
『まぁ、今回のは良い事をしたうちに入るのか怪しいけどな。』
そんなこんなでその日のうちにこれ以外にも二、三件の依頼を達成した俺たちは無事宿に泊まることが出来た。
慌ただしい一日だったが、人助けをしたこともあり悪く無いと思えた。
そんなことを考えながら俺はそっと目を閉じた。
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