第6話 アニオタ、ニート。そんな言葉は慣れっこです

生活リズムが崩れまくってる俺にとって七時起きというのはとてもきついものだった。


なぜこんな時間に起きる羽目になったかというと、

ティナに耳元で叫ばれたからだ。


妖精によるモーニングコールというのに憧れを持つ人も少なくないかと思うが、急に耳元で目覚まし時計三台分に相当する声量で叫ばれると流石に、


『うるせぇぇぇぇぇぇぇぇんだよ!!!!』


と、こうなる。


仕方なく起き、やつれた顔をしながら泊まった宿のロビーに行くと他の五人も俺と同じようにやつれた顔をしていた。


おそらく俺と同じような起こされ方だったのだろう。


『皆さんおはようございます! って皆さんあまり元気がありませんね。』


『お前のせいだよ!』と言いたいところだがそんな気力も朝からは出ない。


とりあえず軽い朝食を済ませ、俺たちは街に出ることにした。


『で、ティナ。今日はどうするんだ? 今日の分の宿泊代もいるだろ?』


『はい、お金稼ぎという面も考慮して、今日から海賊としてのメインの内容。人助けをしましょう!』


『おっ、やっと海賊らしいことかぁ〜 でも具体的に何するの?』


『えーと、街を歩いて困ってそうだなぁ〜って人を探して依頼を受けます。』


『『『『『えっ? 説明それだけ?』』』』』


『はい、これだけです。』


マリン以外が驚いた。


昨日あった説明が長かった分、一言だけだった説明に違和感があったのだろう。


『じゃあとりあえず街の散策でもしますか?』


俺たちは グランの提案の通り街を散策しながら困ってる人を探すことにした。


しかし、二時間後。


『いくら何でも見つからなさすぎじゃないの?』


『というか、困ってる人の見分け方がまずわからないんですけど…』


とうとう、イザナとサラが愚痴りだした。


まぁ、サラの言う通り見分け方がわからないのは確かにそうだと思う。


てか、人間観察すらまともにやったことのないアニオタに困ってる人とそうでない人を判断しろって言われてもほとんどの場合が出来ないと思う。


その時、ティナが何かを思い出したようにみえた。


『あっ、これは……』


『ティナちゃん? 何か大事なことを思い出したんだね? 私たち怒らないから教えてくれる?』


言葉だけだと優しく聞こえるが、フーカは完璧に威圧感たっぷりの脅しをしているようにしか見えなかった。


『え、えーとですね。実は私、困ってる人の声が聞こえるという能力がありまして…… まぁ今まで私も忘れてたんで よしってことにしてください!テヘッ』


ティナはあざとくテヘペロで水に流して貰おうとした。


それに対する俺たちの反応はもちろん…


『『『『『『ふざけんなぁぁ!』』』』』』


そりゃ怒るよな。1時間程無駄に歩いたわけなんだし。


それからティナは十五分程俺たちからこっ酷く叱られた。


『よし、仕切り直しだ!』


こうして俺たちは大事な1話を無駄にした。

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