第4話 海賊というかただのアニオタ

俺たちは島の街中を歩いていた。


やはり異世界といったら中世ヨーロッパ風な建物が目立つ。

この世界もその典型的なパターンのようだ。


『で、どこにその武器屋があるの?』


いかにも『歩くの疲れた〜』と言いたげなフーカは不機嫌そうに言った。


『フーカさん、私たちまだ十分ぐらいしか歩いてないですよ。』


ティナも呆れていた。


そうこうしているうちに街の中心程にある武器屋についた。


『さぁ、ここがさっき言ったキャンペーンをしているウエポンショップマリというお店です。 早速入りましょう!』


俺たちが入ると、中には俺たちと同じぐらいの歳の女の子がいた。』


『いらっしゃい! 私は店主のマリ。 もしかしてあんたらキャンペーンの武器もらいに来た人たち?』


『はい! 調べたらここでやってるって聞いたんですけど早速武器をいただいてもいいですか?』


『せっかちだなぁ〜。まぁいいや。 それじゃ欲しい武器種書いてね〜。』


俺たちは言われた通りに欲しい武器種を書いて渡した。


『オッケ〜。じゃあ用意してくるから待っといて〜』


そう言ってマリは店の奥に行った。


俺たちはマリの印象について話していた。


『なんか、マリさんっていい人っぽいよね。』


『サラちゃんもそう思ってたんだね。僕もアニメにこういういい人いたよなぁ〜って思ってたんだよ』


みんなにとってもマリは好印象だったようだ。


数分後、マリは大きな袋を持って戻ってきた。


『さぁ、みんなにお配りできる武器はこれだ。どうぞ受け取ってくれ!』


マリはみんなに武器を手渡した。


『おぉ! これが俺たちの武器か!』


武器を受け取った俺たちはテンションが上が

らなかった。


『『『『『『『なにこれ。』』』』』』』


ティナを含めた全員が声を揃えた。


俺たちが驚いたのも無理ない。


俺たちに配られた武器は、どう考えても武器じゃなかったからだ。


『よし、一つずつ整理していこうか。』


『まず妹よ、お前は武器種になんて書いた?』


『えーと、片手棍だったはず。』


『それでもらったのはピコピコハンマーか。』


『う、うん。』


『次はフーカか。』


『私は短剣って書いたよ。』


『もらったのは百均で売ってるような宴会芸用の刃が伸縮するオモチャナイフか。』


『流石にこれじゃ戦えないよねぇ…』


『えーと、マリンは?』


『私は回復役だし、魔術用の杖と書いたぞ。』


『もらったのは松葉杖か。』


『私、骨折の経験などないのだがなぁ…』


『次はイザナか。』


『私は片手剣って書いたわよ。』


『もらったのはジャンプ傘か。』


『私って傘で喜ぶ程に幼く見えるの?…』


『グラン、お前は?』


『僕は槍って書きました。』


『で、もらったのはT字ほうきか。』


『僕、掃除はサボらずちゃんとやってたんですけどねぇ…』


改めて事実を認識した五人は暗いオーラをだしていた。


『全員分確認したから言わせてもらうが、』


『一気にボケ過ぎだよ! てか、傘とかほうきとか小学生が帰り道とかにやる遊びかよ!

ツッコミ側の事も考えてボケろよ!』


『お兄ちゃんお疲れ様… てか、お兄ちゃんがもらったのはなに?』


『俺は小手って書いたんだよ。そしたらもらったのが…… 正直者しか見えない小手だそうだ。』


みんなが今日一番の哀れみの目をむけてきた。


『なに?ネタが尽きたの? 裸の王様のパクリかな? ねぇ、俺は能力も武器すらももらえないの?!』


もう、周りから見たらかわいそうの一言しか出てこないぐらいだったらしい。


『でも、なんでこんなものをユーリさんたちに配ったんですか? いじめですか?!』


ティナも、結構怒っていたようだ。


『いやいや、虐めじゃないよ!少し前まではちゃんとした武器を渡してたんだってば!』


『こんなのを渡さないといけなくなったのにはちゃんと理由があるんだって!』


『そう、それはある晴れた日の事…』


そうして、マリはこっちの事を無視しながら理由を話し始めた。

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