1.鬼隻の女

/怪物考察

鬼。


この国では古来より物の怪や怪異として名高い怪物。

筋骨隆々の躰に逞しい角、粗暴で野蛮な戦闘狂。血も涙もない暴力の化身として、鬼はしばしば物語に登場してきた。

人々の「鬼」へのイメージはある種の信仰ともいえる。


鬼に金棒、鬼の居ぬ間に洗濯、渡る世間に鬼はなし…

存在しない怪物に、これだけの諺が作られるのは異常ではないだろうか。


では本当に「鬼」は存在しないのか。

物語の中の存在なのだろうか。



「神」への信仰の形が【神秘】なら、

「鬼」への信仰は何を生むのか。



世界は、斃される存在としての「鬼」を望んでいる。

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