遺跡詩編集

第3話 飛鳥の「酒船石」さん

　あなたほど、飛鳥の石造遺跡の中でも

　多くの人の好奇心を刺激してやまない方はいないでしょう

　あなたはいったい、何なのですか？

　たくさんの、偉い研究家の方が考えました

　　　　（ぼくも考えましたが、変なのばかリ）　

　ちょっと並べてみましょうか

　　　　（もっと沢山あるのでしょうけれど・・・）

　「お水を流す庭園施設です」

　「日々お祈りをするための施設ですよ」

　「お酒を造る施設なのです」

　「お薬を作る施設ですよ」

　「豊穣の占い、などをする特に神聖な施設なのです」

　「天文学や暦に関係する施設です」

　「お水遊びやスタンプラリーなど、レジャーに関係する娯楽施設です」

　「ペトログリフの一種なのです」

　「純粋な創作・芸術である」

　「楽器を据える土台になります」

　「運動用具になるのです」

　「未知の武器の一部なのですが、完成すれば地球も破壊できるのだ」

　「天体の動きなどを観測する、宇宙に関する知識を示すものである。作物の栽培に必要なのだ」

　「宇宙人や異世界などと関係のある何かですよ・・・宇宙船の一部だったり」

　「葬儀や儀式に使う道具です」

　「魔除けの施設なのです」

　「道具類などの型です」

　「現在は知られていない宗教的な意味を、あらわすものです」

　「思いつくことさえもけっしてできない、摩訶不思議なものなのです」

　「実は立てて使うものですが、今はひっくり返ってしまいました」

　「底に悪魔的なものを埋めて封印し、おまじないの記号が彫ってあるのです」

　「タイムカプセルが埋めてあり、将来「ある人」が開けることになっております」

　「下に階段があるのです。黄泉の国に通じます」

　「秘密のお墓ですよ」

　「核シェルターである」

　「時空トンネルが隠されておるのだぞ」

　「実は、人間を生贄にする施設なのです。」

　正解がありますか？

　近いものがありますか？

　それとも、全部はずれですか？

　何か、ヒントをくださいませんか？

　こんどまたいつか訪れた日に

　そっと、ぼくにだけ、おしえてくださいね

　気になって死ぬこともできません

　え？　死んだら分かる・・・んですか

　そりゃあ困ったなあ

　わからない方が良いかなあ

　死ななきゃ真実がわからない　ぼくだからなあ

　人の考えが読めない　ぼくだから

　周囲の状況が読めない　ぼくだから

　いい歳して、職場でしかられてばかりの　ぼくだったからですね

　もし　真実がわかるのならば

　それだって　悪くはないかなあ

　あなたが、真実を教えてくれるのならば

　そうか、でも・・・

　あなたはいつも真実を見せてくれているのに

　ぼくたちには　わからないだけなのだからね

　これから　巨石遺跡を作る方は

　ちゃんと　使用説明書を　裏にでも

　書いておいてくださいね

　二千年後の人が　また悩まないように