第2話   「登呂遺跡」さん

 日本各地に遺跡多けれど

 「登呂遺跡」さん、あなたほど「遺跡」の代名詞となってきた

 有名遺跡さんもありますまい

  

 とはいえ、ぼくが訪れたのは、もう30年以上も前の事

 最近のお姿は知りませんが、写真で見れば、とても近代的で

 立派な遺跡になりましたね

 

 でも、「村」の生活はどうだったのですか?

 きっと怖い方や、意地の悪い方もいらっしゃったでしょう?

 ぼくみたいな、泣き虫もいたんじゃないかしら

 戦いもありましたか?

 お医者さんはいたの?

 きっと祈祷師の方の兼業だったのかなあ

 歌は歌いましたか?

 田んぼの畔や、でこぼこ道で転んだりしましたか?

 イタイイタイ飛んでけー、とかしましたか?

 何が美味しかったのですか?

 名物なんかありましたか?

 百歳も生きた人がいましたか?


 聞きたいことはいっぱいあっても

 あなたは、黙っているだけですね


 でも、こうして、残ったことが最高に素晴らしいのです

 いやあ、あなたは間違いなく立派です

 これからも、生き残ってくださいね


 でもその為には、後世の人間が生き残らなくっちゃね

 なんだか、もう、みんな遺跡になりそうな気配がありますから・・・

 心配です

 あなたも心配していましたか? 

 


 



 








 

 





 

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