遺跡詩編集

やましん(テンパー)

第1話  飛鳥の「亀石」さん

 あなたはいつも、さみしそう

 あなたは、眠っているの?

 それとも

 起きているのかな?

 その目は、瞑っているのかい?

 いやいや、じっと、世界を見据えているのかな?


 あなたはそこから、沢山の人間の営みを、たぶんずっと見ていました

 自分の身が削られたその時から、今までの間だけ

 

 あなたは、たしかにとってもキュートだな

 なんだか、だきしめてしまいたいくらいに


 でも、あなたを見つめていると

 不思議に人の顔に見えてくるのです


 そう、少し伏し目がちで

 見た目はちょっとだけ弱々しいが、じつは、きりっとした

 飛鳥時代のまだ若い貴族さんか、高級兵士さん


 ぼくは子供時代

 自分の部屋の周囲に、乾電池で「結界」を結んでいました。

 部屋の隅々に、単一電池を置いて

 プラスがわの突端同士が、連携し合うのです。

 

 これは、勝手な想像


 ベッドには、ぼくが眠る

 その周囲には、「ぬいぐるみさん」が配置されています。

 みんなで、守ってくれるのです。


 高貴な方々や寺社の場合が同じだなんて、

 そんな罰当たりな事は言いませんけれど

 もしかしたら、「亀石」さんたちは、大切な場所か人の周囲に

 その何かを見ながら、配置されていたのかもしれません。


 「亀さん・・・カエルさん? 人の顔? それに、もしかしてお猿さんも」・・・たちは

 日夜、大切な何かを見守ってあげていたのです、きっとね。

 

 「亀石」さんは、もともとは東向きだったのに

 次第に向きを変えて行き

 今は南西方向を見ているといいます

 西に向くと大和一円は泥の海になるんだとか


 大切な何かが、東側から南西に移動していったのかな?

 それは何でしょう?


 いやいや、動いたのは周囲の方かもしれません


 地磁気の逆転現象の事だ、というお話もありましたが

 ちょっと人間のスケールより大きすぎのような気もします


 多分もう少し、控えめな回答があるのでしょう


 知っているあなた!


 あなたは、もしかして・・・・・・・・


 


  









 

  

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る