付き合ってもないのにこんなことを言われた

野口マッハ剛(ごう)

え、どういうこと?

「私ね、自殺しようかなと思っている」

 僕は彼女の顔を見た。かなり疲れているようで、真剣そうな表情だった。僕はこう言う。

「そんなことをしたら、許さない」

「でもね、もう生きてきて思った。今までたくさん傷ついたの、私。何より、希望が持てないの」

 僕が言葉を詰まらせる。

 そして、彼女の言うことにただうんうんと頷くだけの僕。でも、彼女がこう言った。

「来週もまた会おうね?」

 その言葉に僕は思わず笑顔で「うん」と言った。

 彼女は自転車で走り去るその後ろ姿が段々小さくなっていく。一つ気が付いた僕。彼女は最初っから何かを隠している。それは彼女しか知らない。知りようがない。そして僕はというと、一人ぽつんと道に立ち尽くしていた。彼女とは友だちだ。

 え、どういうこと?

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