poet:8 ローズ=マリー女史の終尾

ーー貴女のことを愛しているのです。



 貴方のその言葉ひとつで、私はどんなに救われたことだろう。今まで、本当の愛を知らなかった私に、貴方のその言葉は、まるで、乾ききった砂漠に水を撒いたかのように、染み渡っていったのよ。


 けれど、いつの間にか、まるで麻薬のように、いつも私を問答無用で良い気分にしてくれる貴方の存在を、愛しく思う気持ちは薄れていって、結局のところ、私はただ愛というものに飢えていた獣に過ぎなかった。それでも、貴方だから、貴方でなくてはならないの、と必死に自分を言いくるめて過ごして来たのだけれど、私は透き通った、貴方という花瓶にただ刺さっているだけで、その中にたっぷりと満たされた美しい愛を啜る以外には何も出来なかった。


 ええ、何も出来ないのは当然のこと。私は何も為そうとせず、ただ貴方の無償の愛を、当然のように貪っていただけなのだから。


 仕事で成功した貴方は、富も名声も手に入れたわね。最後の仕上げに、貴方は私を手放さなくてはならない。貴方のような人の側にいるのに、私はあまりにも不完全で、醜いから。


 でも、わかっている。優しい貴方は、それでも私を愛してくれるの。私が愛した貴方は、そういう人だった。


 なら、最後に、私は自分の意思で、この花瓶から這い出てみせましょう。貴方にはもっと相応しい人が居るわ。一度も貴方に愛を伝えられなかったことだけが、少しばかり心残りだけれど、私の物語を紡ぐのはもうやめて。貴方は貴方自身の物語を紡ぐ必要があるのだから。

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Flowers ソラリスさん @planet__solaris

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