第27話 アーカス湖にて
アーカス湖
レンボルト辺境伯領の北部にある巨大な湖である。
大きさは5,000km2、沿岸には漁村が点在しているが魔族の勢力拡大に伴い大幅に減少しつつある。
ただ、魔族であるダゴンにとって変温動物であるリザードマンより恒温動物の方が好みらしい。
結果、人間の漁村が大きく減ることになっている。
「リザードマンの町に行くにはここから船に乗るのでござる。」
俺達はアーカス湖沿岸の町イヌキの港町に来ていた。
車を乗せることが出来る様な大型の船はなかった。
あっても軍艦でリザードマンとの交渉で町に行くのに軍艦は逆効果だろう。
「仕方がない。大型車両ユニットを降りて船で移動するか。」
「了解しました。大型車両ユニットを格納します。」
ブリッツは移動用キャリアーと共に大型車両ユニットを格納した。
いつ見ても驚きの収納能力である。
これだけの他に飛行ユニットなども格納されている様で全体での収納量は想像がつかない。
この港町からリザードマンの町まで船旅で1日。
「以外に短いな。」
「いやいや、そこはリザードマンの港町にてござる。そこから石の道を三日ほど行った所が首都のイザギにてござる。」
「石の道?」
「アクアエルフと共同で作り上げた道路ですね。所々にある島に繋がっています。」
実際に見ないと判らないが大型車両はオフロード仕様である。
どんな道でも進めるはずである。
イヌキの港町を出て1日、北イヌキの港町についた。
リザードマンの住居は沼地などの水気の多い所の為、石造りの建物が多い。
様々な石を組み合わせた独特の建物になっている。
だが、町は妙に殺気立っていた。
武装した兵士がひっきりなしに行き来している。
あわただしく物資が運ばれ、この間のレンボルト領の攻略戦時の様である。
その中のリザードマンがこちらに声をかけてくる。
「旅の人、そなたらは何処へ・・・む、お主はビゼンではござらぬか?」
「そういうお主はタンゴ。久しいな。」
ビゼンの知り合いか、ついで今の殺気立った理由を聞いてもらう。
「ビゼン、丁度良き所に。
実は聖域に大型魔獣が出たのでござる。」
「何!大型魔獣であると?
それは15年前に撃退したでござるぬか?」
「それが此度は重々に大型が現れたでござる。
我々としては戦力を所望する所にて、お主も大型魔獣には因縁浅からぬ関係。
いかにする?参加するでござらぬか?」
「いやはや、某には殿に面会せねばならない使命が。」
「殿に?それはダメでござる。魔獣が出たことでお城では討伐軍を派遣する用意がされておる。とても面会できる刻限はござらんぞ。」
どうも雲行きが怪しくなってきた。
魔獣が出たことで同盟の交渉ができない様になっている。
「魔獣の討伐軍はリザードマン以外も募集しているのか?」
「この御仁はどなたでござるか?」
「ああ、某のリーダーじゃ。」
「左様であればむしろ大歓迎にてござる。拙者等リザードマンだけならば対処できぬことも多いのにて。」
問題ないようだ。
俺達はビゼンの案内でリザードマンの居城のあるシンガネまでいくつかの島を渡る必要がある。
俺達はアクアエルフと共同で作り上げた石の道の前にいた。
「比較的道幅は広いな、馬車は余裕で通れそうだ。」
「橋自体は石の柱の上にあるのか。石の柱が良く浸食されないな。」
「それはアクアエルフの呪文のおかげなのじゃ。」
「ここで待たれよ。早々に馬車を用意するでござる。」
「あ、馬車はいらないです。」
と言うと、俺はブリッツに命じて大型車両ユニットと移送キャリアーを出現させた。
「なんと!面妖なものでござるな。」
突然、大型車両が出てきて驚いたようだ。
「拙者、成すべきことがあるので案内ができぬが、ビゼン殿、後はよろしく頼むでござる。」
ビゼンの後のことを任せると、タンゴは行ってしまった。
「では皆々まいろうか。」
大型車両で石の橋を渡る。
橋は滑らかだがグリップが効いて滑ることなく進めた。
道中、ビゼンが話を始めた。
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