超兵器起動!

第20話 厄災の胎動

それは飛竜と言われる空の覇者だった。

だが今は地べたを這いずり同族の死骸を食い荒らす物になり果てていた。

かつて自らを空高く持ち上げ、風を切って進んだ翼は見るも無残な形になり用をなさない。

翼の中ほどについた傷が悪化し、翼自体を腐らせていたのだ。


「金ピカメ」


翼に傷を負わせた存在、金ピカ(ブリッツ)を深く恨んでいた。

だがどうすることもできない。

翼がない以上、あっても力が足りないのだ。


「チカラガイル。」


金ピカに対する恨みだけで生き延びていた。


その飛竜の前に傷を負ったオークが現れる。

オークは渓谷よりもずっと北に住む。

この辺りは飛竜のテリトリーと知っているのかこの辺りで見かけることは無い。


だが、オークがやって来た。

傷を受けているという事は何かから逃げている可能性がある。

だが飛竜の知能にそこまで考えられる力は無い。

「傷を受けているオーク」という事は飛竜にとって単なるエサに過ぎない。


オークは事もあろうか後ろを時々振り返っている。

何度か振り返った時、飛竜はオークを毒針で仕留め、その血肉を喰らう。


それは必然であったのだろうか。

オークは飛竜は劇的変化をもたらせた。


以前はエサを採る為だけにしか費やすことが出来なかった頭脳が明晰になり、様々なことを推敲できるようになる。

そして体は前よりも一回り大きくなり、皮膚も固くなる。

毒針も複数発射できるようだ。


「この力さえあれば・・・。」


前にもまして強靭になった体を震わせ復讐を誓うのであった。

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