願い

「二人とも、準備ができたよ。中央の噴水まで来てくれ」


 不思議な力によって、搭の頂上に声が響いた。もちろん、私たちは声に従い噴水の近くに集まった。





「さて、最初はどっちだい?」


 おじいさんの声は昨日と違って覇気が宿っていた。


「ソラ、先にいいよ」


 順番は二人で先に決めていた。


「ああ。俺の願いは『ノエルが自由を手に入れること』」

「わかったよ。二人とも、少し目を瞑っていて」





「さあ、目を開けてごらん」


 目を開けると、私の前には、今世の私そっくりな一人の少女が立っていた。


「久しぶり、ソラくん。ユウちゃんは噴水の水で顔見てみな。おじいさんも、ありがとう」



 彼女はノエル。私の半身。ノエルに言われた通り、噴水を覗いた。水面には、前世の私の顔があった。


 ソラのお陰で、ノエルと私は自由になれた。ちょっと予想外だった。私たちのことは、説明できる気がしなくて言ってなかったのに。


「……ユウ。次はお前の番だぞ」

「うん。私の願いは、ソラの病気が治って、元気に、健康でいられること」


 おじいさんは頷き、ぱん、と手を叩いた。



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