「てかさっきのおじいさんどう思う?」


『おじいさん』というよりさっきの『声』についてだよな。姿を見てないんだから、相手がおじいさんかも怪しいし。


「ほんの少し話しただけだから何とも言えねーけど、声が凄く優しかった」

「ね。私たちのこと、少し心配してくれてた感じがした」

「たしかにな。てか、何者なんだろうな。ノエル心当たりある? なんかの伝承とかにのってなかった?」


 ノエルは一時期地方の伝承とかも調べてたから、心当たりがありそうなんだが。


「あくまで『伝承』だから、事実かはわからないけど『神様』かもしれない。あと、塔に上って帰って来なかった人たちが塔の頂上で繁栄したって説も推測できるね。私は神様なんて信じてないから、塔の上で繁栄した一族の末裔だと思ってる」

「そっかー、ノエルやっぱ頭いいよな」


 能天気とか思ってて申し訳なくなってきた……。すっげー色々考えてんだな。


「まー、シエルと同じで知識欲は強い方だからね。さて、天井まであと少しだね」


 兄妹、家族、血の繋がり。いいなあ。凄く、憧れる。

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