ガラスの塔
塔のガラスを触りながら、ソラは不意に呟いた。
「なあ、ノエル。この塔、ガラス張りだったはずだけど、ガラスが水みたいに透き通ってはいなかったよな?」
「うん。少し白っぽかったよね。まだ霧が晴れてないから、はっきりとここの壁を確認することはできないけど」
『それにはね、少し理由があるんだよ』
突然、優しげな男性の声が響いた。
「ノエル、聞こえたよな」
「うん。どこかにおじいさんがいるのかな」
「なんでこんなところに?」
二人は辺りを見回す。が、霧に覆われているため視界が悪く、近くには人の姿は見受けらない。
『あー、上だよ。君たちは気づいていないんだろうけど、頂上まであと少しなんだよ』
二人は揃って上を向いた。が、やはり霧に阻まれ何も見えない。
『慌てないでね。この塔の階段には手すりがないから、落ちないように気を付けて。私は上で待ってるから、ゆっくり上っておいで』
ここまで来て、唐突に不思議な声と出会った二人は、少し警戒しながら階段を上るのであった。
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