夢現
目が覚めたら、あたりは真っ白だった。霧が出てるみたい。
少し広間を歩いてみたら、広間の中心に近づけば近づくほど霧が濃くなっていくのが分かった。この不思議な景色を共有するためにも、私はソラを起こす。
「ソラ、起きて」
「おはよう……どうした?」
ソラは朝が苦手。私も得意な方ではないけど、昨日ぐっすりと休んだから、今日はさっぱりとした目覚めを迎えられた。
「霧がでてるの。ね、ちゃんと目あけて」
「ん……おお、俺たち、雲の中にいるみたいだな」
寝ぼけまなこをこすりながら、ソラは私の言葉に反応してくれる。
なんでだろう。霧が出てるおかげかもしれないけど、何故か心が凪いでいる。いつもは衝動を抑えきれずに、言動に力が乗り移っちゃうのに。
この気持ちのまま先に進みたい。
「ね、今日は霧が晴れる前に出発しよう」
いつもだったら、見通しが悪くなって危ないから霧なんていらないって思っちゃうんだけど、今日は違う。
もうしばらくは、この霧が晴れないでくれればいいのに。
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