伝承
この世界には、とても高い、ガラスでできた塔がある。
上まで、ずっと太さが同じといわれている。
その塔の内側には、壁沿いに階段がある。手すりのない、大きな階段だ。
大人が縦に二人寝そべられるぐらいの横幅で、縦幅も大人が一人は寝そべられるぐらいはある。そんな階段が上まで延々と続いている。だが、一段一段の高さはそれほど高くない。それこそ、普通の階段のような高さだ。
この塔には、いくつも伝承が残っている。
『この塔のてっぺんには楽園がある』
『この塔には神様が住んでいる』
『この塔を上ると死後の世界で幸せになれる』
『天国へ続く塔』
『搭を上りきると願いを叶えてもらえる』
『この塔を上っても意味は無い。上るだけ無駄』
など、似通っている伝承が多々あるのだ。
そして、伝承は真実かを確かめに行く人間が、何年かに一人のペースで現れる。
なぜなら、塔を上った人間が戻ってきたことは一度もないから。
ありきたりな話だろう。だが、それがこの世界における事実なのだ。
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