朝焼け
「ソラー、起きて! ねえったら!」
体をゆすられて目を覚ます。眠い。まぶしい。水……。
水を飲んで、今の状況を思い出した。俺今塔上ってたんだっけか。
「おはよ、ノエル。どーした?」
「見て! 空! 綺麗な色だよ!」
目を輝かせているノエルに言われてガラスの向こうに広がる空をみる。
そこには綺麗な朝焼けが広がっていた。そして、俺たちのいるところも、綺麗な色に染まっていることに気づく。
「すっげぇ……!」
「綺麗でしょ?」
「ああ。ノエル、気づいてるか? 俺たち、朝焼けの中にいる」
「ほんとだ……私、今空中にいるんだ……昔みたいに」
昔みたいに……何かに絶望する前は、こんな風に目が輝いてたよな。俺は自由で元気なノエルに憧れてたっけか。伝承通りに塔の上に『神様』がいるんだったら『ノエルに自由を与えてください』ってお願いしてみるのもいいな。でもその前に、まずはこの塔を上りきらないと。
「……太陽が昇って、空の色が一色になってから出発しよう」
昔に縋ってばかりじゃなくて、もうそろそろちゃんと今を直視しないとな……。
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