夜更け

 よし、ソラは眠ったみたい。本当はソラをおいて先に進みたいんだけど、私も寝なきゃいけないし、寒いから焚火の近くを離れたくない。


 ……なんでこんなに寒いんだろう。今は春で、塔の外もそこまで冷えてないはず。しかも、ガラスで覆われているから風も来ないのに。


 もしかして、もうそんな高いところまで上ってきたのか、と一瞬考えたけど、たった半日でそこまで来れるはずがない。

 私は今、どこにいるんだろう。どこまできたんだろう。目的地はどこなんだっけ。いや、また空を飛べれば、目的地なんてどこでもいい。



 ゆらゆらと動く火をぼーっとみつめながら、不毛なことを考える。考えるだけ無駄なのに。考えたって、考えるだけじゃなにも変わらないのに。


 夜は何故か考えこんでしまう。



 そういえば、夕日、綺麗だったな。ここからみる朝日も綺麗なんだろな。せっかくだから、朝までおきていよう。ついでに、火を絶やさないようにしよう。こんなに冷えるなんて考えてなかったから、最後まで木材がもてばいいけど。火の番はソラと交代しつつ上ろうか。ソラがいてくれてよかった、のかな。はあ。


 思考の渦にのまれながら、私は必死に起きている。


 夜よ、早く明けろ。朝よ、早く来い。私は、眠いのだ。

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