「なんか、終わりが近づいてる気がするね」


 ────

 事実、私の人生は終わりに近づいてる。

 夢も、目標も、もうすぐ達成できる。


 飛び降りて死ぬんだから、ソラにはついてきて欲しくなかったけど。

 ────


「今が夜で、上も下も見えないからだろ」


 火を焚いているが寒い。寿命が削られていくのを感じるほど寒い。今が夜だから、朝日が昇れば、きっとまた、元気に動けるようになる。きっと。まだ、時間はあるはずだから。


「確かに、そういう考え方もできるね。てか、二人だけで泊まりなんて初めてだね」


 確かに、少し新鮮だ。

 今、ここにいるのが俺だけだったら、この寒さに耐えられたんだろうか。


「だな。いつもはシエルがいたし、火とかの管理もしてくれたからな。ノエルにこんな特技があるとは知らなかったよ」


 家族みたいで、全部知っている気になってた。けど、俺はこいつの事をなにも知らない。


「シエルがいなくなってから、私も色々やってたんだよ? でも、ソラだって、色々変わったじゃん」

「だな。昔の俺は臆病だったからな。今は違うだろ?」

「ははっ、どうかな?」


 そう言って、ノエルは微かに笑った。柔らかな火に照らされてるからか、さっきまでの、隠しきれない程の憂いを抱えていた少女とは別人に見えた。


「その言い方ひでーよなー。ま、いいや。先寝るわ。おやすみ。ノエルも早めに寝ろよ」


 少しずつ、昔みたいな距離感で接せられてるようになってきた。最後くらい、昔みたいな『家族』みたいな距離感、空気感で過ごせればいいのにな。

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