ソラの「覚悟」と二人の「過去」
俺の名前は『ソラ』。いつも明るくて元気なのが『ノエル』。で、ノエルの兄貴で、いつも落ち着いててすげー頭いいのが『シエル』。俺たちは、いつも三人で遊んでいた。
木を登ったり、搭の近くで遊んだり、秘密基地を作ったり、たまに俺とノエルが喧嘩したり、いつも楽しく平和に遊んでいた。二年前までは。
二年前、シエルは『学校』に連れていかれた。大人たちは『学校は学ぶ所だから』って役人に言われて鵜呑みにしてたが、あれは嘘だった。
俺たちはシエルに会いに、一度だけ『学校』に行ったことがある。あそこは、怪物を作ったり、病気の源を作る『研究所』だった。
俺たちはシエルが連れていかれて4ヶ月経った頃に行ったんだが、あの時既にシエルはガリガリに痩せていた。シエルは『世界のためだから』って、力なく笑いながらそう言ってたんだ。
それから2ヶ月経った頃に、シエルは村に帰って来た。骨になって。骨はじい様たちのものとは違って、凄く柔らかかった。
シエルは『研究所』で勉強してるんじゃなくて、実験台として、『消耗品』として扱われていたらしい。後で俺だけに渡された遺書にそう書いてあった。
シエルが死んでから、俺たちが遊ぶことは少なくなった。
これはノエルには隠してるんだが、俺が『入院』してたから、尚のこと遊べなかったんだ。あの頃まで、俺は弱気で、死ぬことが怖かったから。
それで、また一緒に過ごし始めたのは今年からだ。それまでは、俺がシエルとの『約束』を忘れていたから。
まだ三人で遊んでいたときに『ずっと一緒』って約束したんだ。だから、最後がくるまでの短い間だけでも、約束を果たそうとしたんだ。
最近やっと退院できたから、なるべくシエルと一緒に行動してる。今日だって、通院日だったけど、俺だけでも約束を守るために、すっぽかしてきた。
取り敢えず、搭を登りきるまで『病気』の事がバレなきゃいいんだが。あ、そのためには体調ももってくれないといけないか。体調管理、か。
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