休憩
「ノエル、先は長いんだから、もうそろそろやすまねーか?」
もーそろきつい。なんでこんなに急いでんだよ、こいつ。昼から夕方まで歩きっぱなしとか……。
「ん、そーだね。よいしょ、と」
「鞄、重そーだけど、中に何はいってんの?」
「水、栄養濃縮剤、寝袋に木材少しと釘とハンマー、あと火打ち石」
うわー、ガチ装備だ。階段に手すりがないからって自作するために釘とか持ってくるか普通。しかもそんなの背負ってるくせにバテてすらいないし。俺は急いで来たから薬と水しか持ってこれなかったんだよな。体力の差がやばい。なんでだ。
「お前にしてはめっちゃ用意周到じゃん。しかも、わざわざ俺の予定が入ってる日に登りにくるとか」
「前から登りたくて準備してたからねー。てか、予定ってなんだったの?」
こいつ、能天気なんかじゃなかったのかよ……。しかも突いて欲しくないとこ突いてくるし。
「あー……ちょっと色々とな。ま、ノエルが搭に向かってるって聞いてバックレちまったんだけどな」
流石に、今までずっと隠してきたことをこんなところでバラすわけにはいかねーんだよな。あと3ヶ月だし。
「あ、そんな重要じゃなかったんだ」
「ああ。てか、登るなら俺に一声かけてけよ」
一応、それなりに重要な用事だったんだけどな……。
「あはは、気持ちが抑えきれなくて、突発的に来ちゃったんだよねー。さて、もうそろそろ再開しよっか」
「まて、急ぎすぎだ。何日上り続けるのかもわかんないんだからペースおとせ。せっかくガラス張りの塔なんだから、ゆっくり景色でも見てかねーか?」
「んー、わかった。確かに急ぎすぎてたよね。ごめん」
あー!! やりずらいぃ! この微妙な距離感とテンションはなんなんだよ……。
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