第11話 電話

 仕事でとある町中を歩いていると携帯が鳴った。なぜか液晶画面がぐにゃりと歪み、番号が読めなかった。


「はい。OO社のTですが」


「このまま……だと……お前は……死ぬ」


「はあ?」

 

 なんだそれ。からかってるのか。頭にきて電話を切った。


 その夜、俺はトラックに撥ねられた。


 全身を強く打って動けない俺の目の前に、携帯が転がっていた。


 早く、救急車に来てもらわなくては…………震える手で携帯を取り、119を押す。


「はい。OO社のTですが」


 お……俺の声? なんで……まさか……そうだ……説明しなければ。トラックに注意しろと──。

「このまま……だと……お前は……死ぬ」


「はあ?」


 電話が切れた。

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