第10話 迷路

 ここはコンクリートの巨大迷路だ。一度足を踏み入れると簡単には出られない。


 ほら、あそこにはサラリーマン風の男が、向こうには茶髪の女子高生が壁際に座り込んで呆けた顔をしている。


 彼らに出口を探さないのか尋ねてみた。


「もうあきらめたよ」


とサラリーマン。


「出口見つからないし~」


 携帯を弄りながら答える茶髪の女子高生。


 そうか……出る気が無い者に構う事は無い。邪魔だから駆除しておこう。


 私は監視室に戻り、電動の柵を開いて虎を内部に送り込んだ。

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