#6
教室の戸を開けると、茜色の夕日が窓から差し込んでいた。
その済んだ茜色の光は、明かりをつけていない教室で1人佇んでいる幼馴染を薄暗く指し示していた。
「あ、あれ? どうしてキミがここにいるの?」
幼馴染は泣いていた。彼女は板倉に告白したのだ。そして、板倉になんて言われたなんて俺にはわからない。
俺は、カバンを近くの机の上に置き、彼女に近づく。
「西尾ちゃんと一緒にいたんじゃないの」
彼女は狼狽していた。彼女の中では、俺は西尾と会っていることになっている。そして、その結末は彼女が想定していたものではなかった。
俺は、彼女に近付くと、すぐさま彼女の顔を抱き寄せた。
「な、ななな、何を急に」
俺は幼馴染が泣いている状況を放っておくことなんてできるわけがない。
幼馴染は突然に抱きしめられたことに困惑する。
しかし、彼女の手はしっかりを俺の制服を掴んでいた。
「頑張ったな」
「――――」
幼馴染は、我慢していた感情を吐露した。
彼女が泣き止むまで、俺は強く、強く彼女を抱きしめた。
彼女の顔が近くにある。その距離、約15cmの距離。
近すぎる距離間は、本当の気持ちを見えなくしてしまう。
幼馴染は気付いていない――いや、気付かないフリをしていたのかもしれない。
告白という、今までの関係に終止符を打つ、終わりの言葉を口にして、耳にして、俺は自分の隠れて見えなくなっていた気持ちを知ってしまった。
今はその気持ちを噛み締めながら、彼女のことを想う。
ただただ、幼馴染のことが、俺は愛おしい。
オレンジ色の夕焼けが、僕たちを優しく包み込んでいた。
オワリノコトバ 多口綾汰 @ayata_taguchi
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