三度目の正直なんて無かった
だ、大丈夫。
チュートリアルなんてみなくったって、なんとかなるもん!
トイレを終えたあと、寝床に座ってガラス玉に触れ、ダンジョン・コアにアクセスする。
『警告。このコアは一度破損されたため、使用制限が掛かります』
……なん……だと……!?
い、いや、まだだ。まだ何とかなるはず。
『警告。ダンジョン・ブックに著しい損傷を確認。召喚モンスターに制限が掛かります。なお、上限の解放や召喚の更新について、現状では打つ手がありません』
現状でって事は、なんとかなる可能性があるって事だよね!
『警告。マスター・ルームの崩壊を確認しました。このダンジョンをこのまま使用すると、高確率で安全地帯であるマスター・ルームが、再度破壊されます』
なるほど、大規模半壊って感じ?
立ち退きを要求するのか。
『警告。準備期間が残り四十秒ほどで終わります』
支度には間に合わないじゃん!
『警告。ダンジョン・マスターの準備期間中の死亡を確認しました。ペナルティとして、ダンジョン攻略率が高い地域へと、ダンジョン・ゲートを接続します』
ニュアンス的には、手ぶらで猛獣の檻に入れられるのと、たいして変わらない。ってこと?
マズイ、どうマズイって?
アウトかセーフかと言う問題ではなく、ゲームセットが間近だって。
何かを、召喚しなくてはいけないんだ、とは思う。
でも、侵入者の強さが尋常ではないだろうから、雑魚を召喚したところで時間稼ぎにもならないはず。
『お知らせ。ダンジョンが現界と接続されました。……警告。冒険者がダンジョン内に侵入しました』
……はえぇってばよっ!
私は簡素な寝床に座ったまま、冒険者とやらと対峙する。
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