第3話彼氏、います

私は大学は県外に出て誰も知り合いがいない土地で四年間通った。そこで新しい友達を少ないなりに作るのは楽しかったけどやっぱり

就職は県内でした。

大手の化粧品会社に就職が決まって実家から近くも遠くもない今のマンションに住み始めた。


「ふぁあー」

朝はとても弱い。ケータイのアラームを止めるのもめんどくさいほど眠い。

「桐華、起きなよ~」

「…分かってる」

え?あれ?今なんか、声しなかった?

したよね?確実に。私はベッドから飛び起きた。「健斗⁉何でいるのよ?」

「ようやく目が覚めた?」

私のエプロン勝手に来てにこにこ笑顔を向けてくる。

「俺、朝ご飯のときに誰かの顔が見えないと寂しいんだよね」

「そのエプロンは何?」

「桐華が朝弱いのは昔から知ってるから朝ごはんは俺が作る。だからエプロン」

「…分かったわよ」

この幼馴染みには何を言っても無駄な気がする。

「ただ私ね、彼氏いるから、彼氏が部屋に来たときは来ないでよ!」

付き合って1年経つ彼氏。つまり入社したその年にできた同期の彼氏。

「え?彼氏いんの?」

「私意外とモテるの」

「顔だけはいいからね」

「うるさ」

「まあともかく座りなよ。朝ごはん出来てるぜ?」

私の家なんですけど…。

するとほんとに丸テーブルに味噌汁とご飯が二人分載っていた。

「美味しそう!」

「でしょ?」

私の言葉に健斗がうれしそうに笑う。

「健斗は彼女いないの?」

「うん」

「昔から結構美人に告られたりしてるのにもったいないね」

その言葉はある意味賭けだ。

これで健斗がどう反応してくるか。

「俺のタイプの美人じゃないから」

私は安心して味噌汁を一口飲んだ。

「桐華の彼氏はどんな人?」

「格好いいよ。あと仕事も出来て人望もある」

「ふーんつまんねえ」

私はびくっとした。

「な、何でよ」

「なんか、幸せそうだから」

「健斗は私の幸せを祈ってくれないの?」

なんだか悲しくなって眉をひそめて聞いてしまう。

健斗は笑いながら言った。

「祈ってるよいつも」

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