第四章 希望
緑色の舞台
キャロルが目を覚ますと、
兄からもメッセージが届いているものの、
両親と共に食堂で朝食を食べる。全員、和食に挑戦。魚が切り身なので、両親も
そのあと、支度をする。
ホテルのロビーで、スカート部分を手でつまむキャロル。すこしひざを曲げる。
「……行ってまいります」
「ああ。楽しんでおいで」
キャロルの父親が微笑んだ。
「いってらっしゃい」
キャロルの母親が優しい声をかけて、娘を
集合時間にはまだ早い。十代前半の少女は、両親より先に向かうことにした。
「よう。早いな」
ホテルを出てあまり歩かないうちに、後ろから声をかけられた。
「ええ。……そう言うあなたも、早いですわ」
キャロルは、かなり短い髪の男性に返事をした。歩きながら話をする二人。
「
フリードリヒは、
「よいのです、これで。それに……あなたも同じですわ」
「そうか。そうだな」
長身で体つきのいい男性は、
ホテルからさほど遠くない場所にある、
「広すぎじゃないか? それだけ、力を入れてるイベントなのか」
フリードリヒが
「……確かに、あと、二つくらいのイベントを同時にできそうですわね」
キャロルも同意した。
緑色をした
すこし高い位置の大きなディスプレイで、試合の様子を
一万人が
「あれ? アサトは、まだ来てないの?」
金髪でおかっぱに近い髪型の少女が、キャロルに聞いた。
「……列車で来られるので、もうすこし、あとだと思いますわ」
つり目の少女は、すこし眉に力が入っていた。
「なんだ。ずっと一緒にいるのかと思ったよ」
ゆったりとした服を着ているナイナが、さらりと言った。
「……」
キャロルは何も言わなかった。表情が緩む。
見知った顔以外に、ゲームのプレイヤーらしき数名の姿がある。
「あの方たちは、
「……ホテルの同じ階の、別のお部屋にいらしたのですね」
主催者側が用意したホテルには、大部屋以外にもたくさん部屋がある。思い返す少女。
「彼らにとって、
ジョフロワは笑った。
「会いに来てくだされば……
相手の強さなど関係がないという風のキャロル。
すると、
「いいよ。私が代わりに話すから」
ウェーブした髪の女性が、表情を緩めていた。
「いえ。わたくしは……自分で伝えなくてはなりません」
身動きの取れない
「なんて
エリシャは、さらに嬉しそうな顔をした。
「……ごきげんよう」
エリシャから
「やあ。こんにちは。
すこし太めの若い男性が、気さくに話してきた。
「ヴィーシ、そういう発言は良くないと思うぞ。ああ、こんにちは」
隣の人物に
ほかの三人は近寄ってこない。
「ちょっと、ここに美女がいるっていうのに無視する気?」
見かねたエリシャが声をかけた。
「ここはわたくしが……わたくしに任せてください」
いまにも
「やあ。君も
横を刈り上げた髪型の若い男性が近付いてきた。細身。ひょうきん者のようで、コロコロと変わる表情。
残りの二人も寄ってくる。
「よろしく」
「へえ。どうも」
短めの髪をうしろに
「……大会とは関係ないのですが、わたくしは、個人的に話しておかなくてはならないのです」
キャロルは、自分の
よく分かっていないような人には、エリシャが
そして、
「自分から言うって、最高にクールだよ。お姉さんに言ってもらえば、楽なのにさ」
すぐに
「お姉さんじゃないって言ってただろ。ちゃんと聞いてたか?」
長身のユクシは、ヴィーシに
「全く。ぜひ、お近付きになりたいね」
横を刈り上げた髪型のカクシは、エリシャに
「うん。よかったな」
体つきのいいコルメは、話を聞いて目を
「だからって、
「ええ。……聞いてくださって、ありがとうございます」
金髪ロングヘアの少女は、軽く
キャロルは、
「外から見るよりも、広く感じますね。中に入ると」
グレーのシャツ姿の少年が歩いてきた。すぐに駆け寄っていくキャロル。
「ごきげんよう」
照明のせいか、輝く笑顔を見せた。グレーに近い色のワンピースも煌く。なびく金髪。
「ごきげんよう」
心ここにあらずといった様子で
「……大会が終わったら、お時間をいただけますか?」
「はい。もちろんです」
十代前半の少年が、笑顔を返した。
「いいなあ」
二人に聞こえない場所で、ナイナが
「おいおい。邪魔するなよ?」
「そんなことしないよ。ちょっと見てみたいだけだよ」
ナイナは、にやりと笑った。
「そいつは
フリードリヒはすこし
「そろそろ、
長い黒髪の少女が近付いてきた。ピンクのワンピースの上に、赤いカーディガンを羽織っている。
「えっへっへ。
隣のミドルヘアの少女は、
「てっきり、ゲームにステータスを
「誰が、ステータス
流れるような髪を
「……
キャロルも、
ケイとサツキのほかにも、何人かやってくる。
「えーっと、こんにちは」
おとなしそうな、
キャロルが自分のことを伝えようとして、すでにケイたちから聞いていると言われる。お互いに微笑んだ。
「オレは、ヨウサクっていうんだ。よろしく頼むぜ」
やんちゃそうな
「私は、ホノリです。よろしくね」
落ち着いた
「お友達になって。ユズサっていうの、私」
ふわふわとした
「いきなり、そう言うのはどうかと思いますよ。私はマユミです。よろしくお願いします」
つり
「面白くなりそうだね」
すこし離れた場所にいたナイナが、同い年くらいの少年少女の集団に
「……」
フリードリヒは止めなかった。
「
「え? 誰のこと?」
「……違いますわ」
ほぼ同時に、違う反応をした二人。
「ちょっとユズサ。
ホノリが
「詳しく聞きたいな」
ナイナが話しかけた。
「なに、
ケイがツッコミを入れた。それをきっかけに、金髪ミドルヘアの少女がみんなに紹介される。
「かわいい服、どこで買ったの?」
「トラップとデコイを使った、ねちっこい戦い方をするから、気を
「面白い戦い
マユミは
「戦い
ナイナは食い下がった。
「
ヨウサクが
「
ロクミチが
「
サツキが
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